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東京・港区「麻布台ヒルズ」自然と共生するヒルズの未来形~Deportare Trip vol.12

東京・港区「麻布台ヒルズ」自然と共生するヒルズの未来形~Deportare Trip vol.12

LIFE STYLE DEPORTARE

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緑に包まれた新スポット人と人をつなぐ広場のような街

東京・港区麻布台に”Green & Wellness”をテーマにした街が誕生する。その中心となる森JPタワーの高さは約330メートル。森ビルが35年の年月をかけた都市再開発プロジェクト「麻布台ヒルズ」が2023年11月24日、ついに幕を開ける。

「麻布台はもともと居住者が多いエリアです。開発するうえで、やはり〝人〟を中心に据えることが大事だと考えました。人々が人間らしく生きるためにどのような要素が必要なのかと考えた結果、コンセプトは、〝緑に包まれ、人と人をつなぐ『広場』のような街〟としました」

と、森ビル株式会社営業本部ウェルネス推進部部長・平野文尉(のりやす)さん。中央広場や低層棟の屋上など開発面積の約3割を緑化することで、四季を感じる視覚効果だけではなく、木立が日陰をつくるなどの機能的な役割もはたすという。

「自然に人が集まり、新たなコミュニティが生まれる街づくりを目指しています。人々が心身ともに健やかに暮らせるよう、ウェルネスにつながる仕組みを構築していきたいと思います」

僕自身、「人々の健康的な暮らしに重点を置く〝健康革命〟の時代は必ずくる」と言い続けてきた。今回、クラブの麻布台ヒルズへの店舗移転を機に、ジム会員のみならず、オフィスワーカーも参加できる健康コンテンツを森ビルさんと一緒に提供していく予定だ。

お台場から「森ビル デジタルアートミュージアム:エプソン チームラボボーダレス」も移転オープン。東京の新たなホットスポットのオープンが待ち遠しい!

平野部長と竹下さんの対談で語られた森ビルが考える「都市と自然との共生」

Q 麻布台ヒルズのコンセプトは、”Green & Wellness”をテーマに、豊かな緑と共存し、人々が集い、生活できるコミュニティを作り出すことだとうかがいました。本日はこの2つの柱について詳しくお話をうかがいたいと思います。

平野:麻布台ヒルズの“圧倒的な緑”を象徴しているのが、街の中心に据えた広場です。緑化面積としては、中央広場(約6,000平方メートル)や低層部の屋上など敷地全体をできる限り緑化することで、約8.1ヘクタールの区域のうち約2.4ヘクタールの緑地を確保することができました。そのような緑豊かな環境で人々がさまざまなコミュニティを作り、いろんな出会いを通して刺激を受ける。ウェルネスといっても、いろんな捉え方ができると思いますが、最も優先すべきことは、人々が健康で、心身ともに健やかに過ごせるような環境を提供することです。

Q 本日、対談を行っている「アークヒルズ仙石山森タワー」からも麻布台ヒルズの低層棟の緑化がよく見えます。本当に緑が多いですね。

平野:都市計画と言いますと、まず建物を配置し、空いたスペースを緑化します。よくあるのが、敷地の隅っこのほうの空き地に広場をつくるといった手法です。ですが、今回の麻布台ヒルズは、最初に広場を中心に据えて、その後に広場を囲うようにタワーを3棟配置、人の流れが自然と広場に集まるようにするという、従来の手法とは全く違うアプローチです。森ビルでは、1986年のアークヒルズ以降、都市の緑化に積極的に取り組み、ヒートアイランド現象などの都市問題の解決に貢献してきました。

“Green & Wellness”をテーマにした麻布台ヒルズ。屋上緑化も印象的だ。

Q 麻布台ヒルズの最も高いビル「森JPタワー」は、日本一の超高層ビルとなりました。緑化のためには、建物の高層化も必要だそうですね。

平野:そのとおりです。超高層タワーを建てることで、足元に緑豊かなオープンスペースを生み出す。この都市づくりの手法が、森ビルが長年こだわってきた「ヴァーティカル・ガーデン・シティ」(立体緑園都市)です。都市を立体的に利用し、地表や屋上に自然と人間が共生する“小自然”を作り出すことで、生物多様性に配慮した緑あふれた空間を創出します。

Q 低層部のデザインが非常に特徴的です。

平野:低層部のデザインは、ロンドンオリンピックの聖火台を手掛けたトーマス・ヘザウィック氏(英国)が手掛けました。コンセプチュアルなものをハードに落とし込んでいく作業は、非常に難しい、チャレンジングな取り組みでしたが、四季を感じるような植栽や菜園を設けるなど、見た目だけではなく機能的にもGreenとWellnessを表現してくれました。たとえば、緑も何もない、ただ広いだけの空き地があったとして、日中の強い日射しの下でずっと立っているのはとても辛いと思います。でも、そこに木立があり、日陰ができれば、人々が集い、会話が生まれる。機能として日陰を作ってくれるというのは、とても大切なことです。

Q ここからは竹下さんも加わっていただきたいと思います。竹下さんがオーナーを務めるパーソナルトレーニングジム「デポルターレクラブ」はこのたび、麻布台ヒルズの森JPタワーに移転することになっています。森ビルさんの”Green & Wellness”への取り組みについて聞かれたときは、どう思いましたか?

竹下:まさに、我々が参画させていただくべきテーマだと思いました。僕自身、神奈川県の茅ヶ崎に住んでいるのですが、富士山の麓にも家があって、時にはそこで過ごします。そういう意味では、海や山、と常に自然に触れるような生活をしているのですが、働くのはセンター・オブ・東京という、これが僕のバランスです。でも、麻布台ヒルズは、それが同時に叶えられる場所ですね。

平野:竹下さんがおっしゃるように、働く場所と住む場所をわけるという考え方は、とくに日本ではめずらしくないことです。働くのは都市部でも、住まいは郊外の自然豊かなところで、子育てにもいい環境を、と考えられています。しかし森ビルとしては、住宅と働く場所と遊ぶ場所、買い物する場所などのいろいろな機能が徒歩圏内に集約されるような街、“コンパクトシティ”を理想の都市として掲げてきました。自然と都市機能がわかれてしまうと、それを求めて都市から離れたところに住み、結局、移動時間が増え自由に使える時間は減ってしまう。そのような矛盾を解決するために編み出したのが、建物を高層化し、低層に緑地を作って、そこにコミュニティを形成させるための複合機能を作るという街づくりです。今回の麻布台ヒルズは、学校や医療施設といった、これまでにない要素も取り込み、より多用途な街をつくっていますので、竹下さんにそう言っていただくととても嬉しいです。

竹下:全てコンパクトにまとめているだけではなく、森ビルさんに受け継がれてきたクリエイティブな世界なんだと思います。やはり、人々が理想とする世界を街で表現するというのは、スケールが大きいことですし、東京という街をデザインするなんてことは、森ビルさんのような会社ではないとできないと思います。

Q 医療施設も入るというお話ですが、麻布台ヒルズへの慶應義塾大学病院予防医療センターの移転も決まっています。予防医療の施設と森ビルさんがどのような取り組みをされていくのかをお聞かせください。

平野:病院というのは、病気になったときに行って治療してもらう場所。そのなかで唯一、健康なときに行くのが、人間ドックなどを行う予防医療センターです。慶應義塾大学病院は開院100年を迎え、高齢化社会における健康寿命の延伸への期待が高まるなか、今後の100年をどうしていくかを考えたとき、やはり、予防医療の最先端を追求しなければならないという話になりました。そこで、森ビルと慶應義塾は、予防医療センターの麻布台ヒルズへの移転ならびに「ヒルズ未来予防医療・ウェルネス共同研究講座」の開講に関する基本協定を締結。共同研究講座では、予防に関する研究に関して、主にヒルズのワーカーを中心に被験者を募り、彼らの日々の生活や研究に関するデータを提供してもらい、未来の予防医療の形を研究していこうと挑戦しています。また、慶應義塾大学医学部出身のドクターが開業するクリニックも入りますので、ワーカーや住民のみなさんが日常的に使える医療施設も整備しました。我々としては、運動(スパやフィットネスクラブ)、食(レストランやフードマーケット)といったさまざまな施設をウェルネスという横軸でいかにつなげていくか。この街に住み、働くことで健康になれるようなウェルネスな取り組みをしていきたいと思っています。

Q この街全体でウェルネスを作っていくということですね。具体的に決まっていることはございますか?

平野:健康を維持するという意味では、やはり食事と運動は欠かせません。そこで、企業の垣根を越えてワーカーが集うヒルズハウスという施設を作り、そこで健康に配慮したメニューを提供します。また、日常生活のなかで、何を食べたらいいかわらかない、どんな運動をしたらいいかわからないといった素朴な疑問に応えるようなメニューを考えたり、解決のヒントになるようなものを提供していきたいと考えています。昨年、森ビルの社員向けにデポルターレクラブにウェルネスプログラムをつくってもらい、私自身もパーソナルトレーニングを体験しました。やはり、人というのはそういうことをきっかけに行動を変えていくものなんだと思います。

竹下:デポルターレでは、「habit5%」という人々に運動の習慣化を促すためのウェルネスプログラムを活用し、数々の企業の健康課題を解決してきました。現在も数十社とウェルネスプログラムのお話を進めていますが、企業によって健康課題というものは違います。たとえば、森ビルさんとは、ゴルフが上達するためのエクササイズというのをやらせていただきました。健康課題とは少し異なるプログラムでしたが、少しでも興味のあることから健康習慣を取り入れ、続けていくということが非常に大事です。「habit5%」は、健康習慣を5%上げていきましょうというプログラムですが、いきなり数十%上げるのは難しくても5%くらいだったら変えていけるんじゃないかという提案です。デポルターレクラブは、これまでと変わらず、会員向けのパーソナルトレーニングジムとして運営していきますが、森ビルさんと一緒に、麻布台ヒルズのオフィスワーカーや住民の方々の健康をサポートするプログラムをご提供していきたいと思っています。

竹下雄真

1979年、神奈川県茅ヶ崎市出身。会員制パーソナルトレーニングジム「デポルターレクラブ」代表。トップアスリートをはじめ多くの著名人の肉体改造に携わり、ウェルネス以上、メディカル未満の領域で、クライアントの進化に日々努める。著書に『ビジネスアスリートが実践する最強のリカバリー術』(光文社)ほか多数。

撮影/木村哲夫、細田純平(デポルターレクラブ) 取材・文/竹下雄真 編集/服部広子