コロナ越え…4年半越し新規就航路線 ANA CAのおもてなしに涙腺崩壊寸前
手作りの花園空間出現

2020年に新規就航が予定されていたものの延期になっていたミラノ、ストックホルム、イスタンブールの3路線にようやく搭乗することができた。
コロナ禍で4年半もの間、就航が延期になっていただけに、搭乗客の私はただひたすら待っているだけだったが、ANAの担当者、国交省、空港、取引企業、各国の大使館、領事館など関係者すべての就航復活への努力は大変だったことだろう。
3路線の各初便では、CAさん自らが手作りしたデコレーションがギャレー付近の各所に飾られていて、搭乗した瞬間に込み上げてきて涙腺崩壊寸前に陥ってしまった。
「この飾り付けは勤務時間に作ったものですか? これは家でミシンがけしたのですか? 会社からの指示ですか? (笑)」と直球で質問を投げかけてみた。
答えはどちらでもよかったのだが、初便にアサインされてから、いろいろ就航地のことを調べて布を買ってきたり、折り紙で花束を作ったりとコツコツ自宅で準備していたそうだ。
イスタンブール往路初便では、精巧なモスクのオブジェまで作ったCAさんもいた。「初便のお客様をお迎えするにあたって、少しでも私たちの気持ちも伝わればと思って一生懸命作りました」とのこと。
ミラノ往路初便のウエルカムボードは、CPさんの娘さんが作ったと、前にもここで触れたが、ストックホルム往路初便では黄と青のスウェーデン国旗の配色の素朴な毛糸の編み物が飾られていた。

現地到着後、私は乗ってきた飛行機にまた乗って日本に帰るのだが、パイロット、CAさんらは当然交代する。イスタンブール復路便の乗務員は、ANAの直行便が就航前ということで、フランクフルト経由で他社便を乗り継いで来ているという。
現地で購入した小物なども合わせてディスプレイされていて、復路便は、またガラッと違った装飾が楽しめるというわけだ。そのため、最後尾のギャレーの飾りつけは、暗闇の中、お手洗いのついでに立ち寄った搭乗客が、アッ!と声を出すほどの手作り〝花園空間〞だった。
往路初便のCPさんのアナウンスでは、「イスタンブールタッチのお客様、楽しみに待っていてくださったことと思います。長い間、大変お待たせいたしました。私たち乗務員は、皆さまを安心、安全、快適にイスタンブールまでご案内いたします」と。
羽田発初便には、1978年の大ヒット曲『飛んでイスタンブール』の庄野真代さんもご搭乗され、現地到着後、初便タッチャーらと笑顔で記念撮影に納まってくださった。
現地の就航記念パーティでの歌唱後、ファンとのツアーに合流されたとのこと。半世紀近くが経過して、ようやくANAの直行便で〝飛んでイスタンブール〞ができるようになったのは感慨深い。
〜つづく
イラストレーション ソリマチアキラ
パラダイス 山元 | ぱらだいす やまもと
プロ搭乗客。 ANA ミリオンマイラー。音楽家。餃子レストラン「荻窪餃子 蔓餃苑」オーナーシェフ。著書に『読む餃子』、英語版・フランス語版餃子レシピ本『GYOZA』、『パラダイス山元の飛行機の乗り方』『なぜデキる男とモテる女は飛行機に乗るのか?』などがある。全国各地で開催中の「皮からつくる本気の餃子づくり教室」などの出演イベントの詳細は X(旧Twitter) で発信中。
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