ANAミラノ初便に搭乗 往復30時間の空の旅で胸が熱くなった瞬間
以前、ここで話題にした“ミラノ初便タッチ”を無事に終えたので、まずはみなさまにご報告を。
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コロナ禍で、新規就航の予定が延期となり、4年半もの間待ち焦がれ続けた羽田―ミラノ線初便にようやくタッチ搭乗することができた。もちろんその名のとおりミラノ到着後、また同じ飛行機に乗って帰ってくるという“快適な空だけの旅”を満喫する往復約30時間、現地滞在2時間のエクストリームトラベルだ。

ミラノのドゥオーモ、レオナルド・ダ・ヴィンチの傑作「最後の晩餐」を見ることもなく、黄色いトラムに乗っての市内観光も、有名スキーリゾートにリムジンで向かうでもなく「せっかくミラノまで行ったのに、なにをそんな無駄なことを?」などとは、お節介にもほどがある。観光と搭乗は別だ。いずれ時間を見つけて、ミラノ観光はしに行くつもりだ。いや、やっぱりまたタッチ搭乗だけで市内まで行かないかもしれない、自分でもよくわからない。
羽田空港第2ターミナル国際線搭乗口73番前では、賑々(にぎにぎ)しく新規就航記念セレモニーが開催された。駐日イタリア大使に加え、“元祖ちょいワルおやじ”のパンツェッタ・ジローラモさんが登壇、イタリアの魅力、ミラノ観光の見どころなどを面白おかしくお話をされていた。
搭乗の際に、新規就航記念の品が配られた。飛行機は横断幕を持ったANAスタッフに見送られながら、深夜午前1時すぎ、一路ミラノへ向けて出発。往路は南回りで15時間半の飛行である。キャプテン、チーフパーサーの機内アナウンスも、初便ということで感慨深いものがあった。往路はビジネスクラスであったが、結局一度もリクライニングスイッチには手を触れることなく、直角のまま飲食、『翼の王国』の機内執筆に勤しんだ。
以前のようにロシア上空を飛行していた頃は、機内シートモニターで飛行ルートを見ると、ウラジオストク、イルクーツクと、降りたことはないものの、ヨーロッパ線に乗るとお馴染みの地名が表示されていた記憶がある。南回りだと韓国、中国、中央アジアの各国の管制に許可を取りながらの運航で、地図をモニターに表示すると、ポイントを線で繋いだジグザグのような飛行航路で、ウルムチ、ジェスカズガン、ザナオゼン、イジェヴァンと、あまり馴染みのない地名ばかりが登場。到着まで、延々と地図を見入ってしまった。
機内の各ギャレーには、CAさんや、チーフパーサーの中学生の娘さんが手作りしたというイタリア国旗と日の丸があしらわれたウエルカムボードと一緒にイタリア産ワインや、アメニティが置かれていた。娘さんもお母さんの仕事を応援しているんだなーと、胸が熱くなった。
マルペンサ空港では、井上慎一ANA代表取締役社長が満面の笑みで我々を待ち構えていた。
〜つづく

イラストレーション ソリマチアキラ
パラダイス 山元 | ぱらだいす やまもと
プロ搭乗客。 ANA ミリオンマイラー。音楽家。餃子レストラン「荻窪餃子 蔓餃苑」オーナーシェフ。著書に『読む餃子』、英語版・フランス語版餃子レシピ本『GYOZA』、『パラダイス山元の飛行機の乗り方』『なぜデキる男とモテる女は飛行機に乗るのか?』などがある。全国各地で開催中の「皮からつくる本気の餃子づくり教室」などの出演イベントの詳細は X(旧Twitter) で発信中。
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