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全国ラーメン探訪 10日で50杯を制した北欧ゲストの意外なオチ

全国ラーメン探訪 10日で50杯を制した北欧ゲストの意外なオチ

LIFE STYLE 快適な空だけの旅

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日本へ初めてやってきた北欧の友人が、来日するなり「ラーメンが食べたい」と言い出す。10日間の滞在期間中に「30杯は食べたい♡」などと言う。 

朝から晩まで毎食ラーメンで本当にいいのか?せっかく初めて日本に来たのに観光はしなくていいのか?富士山は?神社仏閣とかの名所旧跡には行かなくてもいいのか? 

東京だけで3000店以上もあるといわれるラーメン店。こちらが、さてどこへお連れしたらよいものかと悩む前に、自身で来日前に訪れてみたいラーメン店のリストをつくってきていた。SNS恐るべしである。 

日本で本場のラーメンを食べに来たというからには、全国各地のご当地ラーメンも味わってもらいたいと思うのは当然だろう。北から旭川、札幌、函館……と、せっかくアテンドするなら一緒に飛行機に乗って各地のラーメンを食べに行きたくなった。あと、ちょっと通ぶって、彼の調べが及んでいない店にお連れするとか。それから効率を考えて一箇所で何軒もハシゴできるラーメンに特化した施設もアリかと。

彼のリストの中には、新千歳空港の「北海道ラーメン道場」も、福岡空港の「ラーメン滑走路」もなかった。そもそも私と体格の差がふた回り以上もあるので、連続2杯でも3杯でも全然平気なはずだ。彼とは以前ジンジャークッキーの早喰いという、とあるイベントのアトラクションに参加。私は大差をつけられ彼に完敗した。

イラストレーション ソリマチアキラ

私としては、ラーメンだけでなく、日本の餃子も好きになって帰ってもらいたいという思いもあった。彼の出身地、スウェーデンの首都ストックホルムでは、 10年ほど前から、ちょっとした餃子ブームが起こっている。きっかけがなんなのかは謎だが、街中の日本料理店、寿司店で、日本製の冷凍餃子が出回るようになり、やがてタイ料理店、ベトナム料理店の看板にも、デカデカと“GYOZA”と表記されるようになった。そういえば老舗ホテル内のレストランでも、スモーガスボードと呼ばれる、本場のバイキングスタイルのビュッフェで、なぜか寿司桶の中に焼き餃子が並んでいたことがあった。

都内滞在中、彼を中華、寿司店などにもお連れしたものの、あまり喜んではもらえなかった。滞在後半は、一人で行きたいラーメン店巡りに没頭。結局、目標を上回る50杯以上の写真を帰国する際に見せてくれた。ANAで沖縄へ行ってソーキそばも食べていた。「日本は狭くて10日もあればほとんど全て回れると思っていたけど、案外広かった。楽しいから、また来たい」だそうだ。ひとまず、安心した。

一番印象に残った食べものは、私と一緒に最後に空港ターミナルで食べた牛丼だったという。ラーメンではなかったというまさかのオチに麺(面)くらった。

パラダイス 山元 | ぱらだいす やまもと

プロ搭乗客。 ANA ミリオンマイラー。音楽家。餃子レストラン「荻窪餃子 蔓餃苑」オーナーシェフ。著書に『読む餃子』、英語版餃子レシピ本『GYOZA』、『パラダイス山元の飛行機の乗り方』『なぜデキる男とモテる女は飛行機に乗るのか?』などがある。全国各地で開催中の「皮からつくる本気の餃子づくり教室」などの出演イベントの詳細は X(旧Twitter) で発信中。

X @mambon

パラダイス 山元  写真