2025年も華やかに開幕!「横浜春節祭」とは? 5年後には全国区の祭りへ
「横浜春節祭2025」は、中華圏の旧正月(春節)を祝うお祭り。1月21日に横浜市役所で開催されたオープニングセレモニーでは、獅子舞が披露されるなど華やかに幕を開けた。今年の横浜春節祭は2月28日まで開催され、中華の伝統工芸「巨大ランタンオブジェ」の展示や春節福引き「紅包(ほんぱお)くじ」がもらえる「春節デジタルスタンプラリー」など多くの催しが予定されている。春節の歴史や文化的背景、そして4回目を迎えた横浜春節祭の見どころについて、生みの親であり、実行委員長の高橋伸昌さんに詳しく解説してもらった。
横浜中華街を盛大に楽しめる「横浜春節祭」の歴史
中華圏では、旧暦のお正月を「春節」と言い、盛大にお祝いする風習がある。横浜では、1986年に横浜中華街で春節の祭りが始まった。その年の最初の新月(旧暦の元旦・春節)から月が満ちる(満月)までの15日間を盛大に祝うことでその一年が豊かで幸せな年となりますようにと開催される同祭は、今年で39回目を迎え、冬の横浜の風物詩となっている。
2022年、その春節を横浜ベイエリア全体で楽しんで冬の横浜を盛り上げようと、地域の街や商業施設、行政と協力して始まったのが「横浜春節祭」。横浜中華街の春節と並行して行う「W春節」を謳(うた)っている。
「横浜中華街は非常に個性的な街です。横浜を代表する元町や伊勢佐木町などいろんな街はありますが、中華の文化や伝統、色や匂いといった異国情緒は、中華街でしか味わえないもの。横浜市のなかでも極めて異色の人気コンテンツなんです。その中華街における最大のイベント『春節』が、中華街の外に飛び出すことによって、たくさんの人に横浜のことを知ってもらう機会を創出できると考えました」
と高橋さん。オープニングセレモニーでは、「横浜中華街の持つ春節というキーコンテンツを使い、地元横浜のお祭りとして冬の観光閑散期の経済活性化を推進。横浜のファンとリピーターづくりに邁進していく」と挨拶。「5年後には、横浜を代表する全国区のお祭りにしていきたい」と抱負を語った。
春節の歴史を知ると楽しさが倍増
そんな横浜中華街の春節の歴史を紐解くと、そもそもは、日本のお正月と同じように各家庭で祝われてきた春節が、中華街のお祭りになったのは1986年のこと。中華圏のコミュニティにとって重要な文化と宗教の拠点であり、商売繁盛や平安を祈る場所としても知られている「関帝廟(かんていびょう)」が元旦に不審火で燃えたことがきっかけだった。
「いろいろな歴史を経て、長らく分裂していた台湾と中国の人々、そして日本人が、関帝廟の復興のために力を合わせて何かやれるものはないか、と。そこから始まったのが横浜中華街の春節です」
毎年、春節カウントダウンから始まり、娯楽表演の中国雑技や獅子舞・古筝演奏・中国舞踊や祝舞遊行と呼ばれる春節の祝賀パレードなどが開催されてきた。
そんな横浜中華街の春節が横浜の街をあげての一大祭りにできないかと模索していた高橋さん。観光客の激減や風評被害を経験したコロナ禍を経て、その思いはさらに強くなった。
「中華街で働く人々は、自分たちが頑張ってきたから中華街は繁栄したという自負が少なからずありました。ところが、コロナ禍ではっきりわかったのは、それは思い違いだったということ。中華街から人がいなくなって初めて、中華街だけでは生きられない。自分たちは、中華街の外の人たちに生かされていると気づかされました。そして、コロナ禍において中華街に足を運んでくれたり、応援してくれた人たちに感謝し、今後は、地域のために動ける街になっていかなければならない。そう考えて思いついたことの一つが、中華街だけでなく、地域全体の発展につながるようなお祭りをつくることでした」
長崎のランタンフェスティバルがヒントに
2021年、コロナ禍で神事を除く全ての春節行事が中止となるなか、新たな名物として中国の伝統工芸「ランタンオブジェ」を実施。そのヒントになったのは、同じく中華街を持つ長崎の「ランタンフェスティバル」だった。
「横浜、神戸、長崎と日本三大中華街のなかでも、横浜中華街の春節は日本一だと言われているが、本当にそうなのか。当時、横浜中華街発展会協同組合の理事長を務めていた私は、組合の理事たちと一緒に長崎を訪れました。そうしたらもう、お祭りの規模もはるかに大きいし、中華街だけでなく長崎市全体を巻き込んだ祭典なんですよ。これは横浜とは全然違うぞ! と感銘を受けました。ランタンの灯りは、見ているだけで心が温かくなって素晴らしいな、と。ぜひ、横浜でもやってみようと寄付集めに奔走し、ランタンを購入しました」
そうして2022年、第1回の横浜春節祭が開催された。周辺の街と連携したお祭りは、元町・中華街から横浜駅までの横のラインを軸に全12カ所にランタンオブジェを展開。スタンプラリーを実施した結果、直接的な経済効果につながった。
昨年は、「W春節」と銘打ち、横浜市と共催にて実施。4回目となる今年は、初めて中華街の主催から実行委員会形式に移して、地域と行政と企業、三位一体のお祭りになった。
「北海道の『さっぽろ雪まつり』は、1950年に地元の中高生らが作った、たった6つの雪像から始まったと言われています。それが、市民、企業、行政が参加するという形で全国区となり、55年経った現在は、国内外から200万人以上が訪れるお祭りに成長しました。横浜春節祭も、そういう足跡を辿ることができたらといいなと思っています」
「横浜春節祭2025」ランタンオブジェの見どころ
主なイベントは、「ランタンオブジェの展示」と「春節デジタルスタンプラリー」、「祈願獅子舞」などがある。横浜春節祭の名物「巨大ランタンオブジェ」は、中華の伝統工芸のイルミネーション。中国・四川省自貢市(じこうし)にある工場で、一つひとつ職人たちの手作業でつくられるランタンは、昼間でもカラフルな色が楽しめ、夜に点灯すると、そのやさしく幻想的な灯りが見る人の心を癒す。
今年のランタンオブジェの展示場所は、横浜ベイエリアの商店街や商業施設、駅や公園をはじめ、県外では東京都内の羽田空港や渋谷、神戸市の元町エリアまで広がり、50カ所以上の会場に順次設置される予定だ(展示状況は公式サイトでチェック!)。
ここでしか見られない!「横浜春節祭2025」新作ランタン
「ランタンオブジェは小さいものでも高さ2メートル、大きいものでは高さ5〜6メートル、横幅10メートル近いものがあります。元町は、街のシンボル『不死鳥』を使ったオブジェ『フェニックス』を、馬車道の『馬車と貴婦人』は、ランタンという芸術を使って街の個性を表すオブジェを新たに制作しました。そのほか、ここでしか見られない新作として、ストロベリーフェスティバルに合わせた『宮灯とストロベリー』(横浜赤レンガ倉庫会場)や、花のアフロヘアがトレードマークの『ガーデンベア』(山下公園会場・中央広場)、『GREEN×EXPO 2027』公式マスコットキャラクター『トゥンクトゥンク』(汽車道入口会場)などがあります。そごう横浜店会場に展示される『宝金豚』なども面白いと思いますよ。また、阪神淡路大震災から30年の節目を迎えた神戸では、復活の象徴『鳳凰』が旧居留地エリアの神戸大丸店前に展示され、話題となっています」
さらに、ランタンオブジェを巡りながらスタンプを集めると、春節福引き「紅包くじ」などの景品がもらえる「デジタルスタンプラリー」を実施している。スマートフォンを使って春節祭の公式サイトからエントリー可能。ランタンオブジェの会場に掲示されているQRコードを読み込むことでデジタルスタンプが集められる。景品はハズレなしなので、ぜひご参加を!
翼の王国のアンケートにぜひご協力ください。ご協力いただいた方の中から抽選で当選した方にプレゼントを差し上げます。