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奇跡の清流に棲んでいる、真っ赤な頭の不思議な妖怪アカシャグマと、高知のうま~い獲れたてカツオ・赤牛を堪能!『高知/アカシャグマ』

奇跡の清流に棲んでいる、真っ赤な頭の不思議な妖怪アカシャグマと、高知のうま~い獲れたてカツオ・赤牛を堪能!『高知/アカシャグマ』

ENTERTAINMENT 高知県

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ニッポン全国津々浦々、数千もの伝承があるとされる中から都道府県ごとに一匹の妖怪を選び、独自の解釈で造形しました。

妖怪に誘われるがまま旅にでかける空飛ぶ百鬼夜行に、ようこそ。

アカシャグマ

ボサボサの赤い髪と赤い鼻がトレードマーク。あまりに明るい赤色のため、直視するのが難しい。子どものような姿の妖怪で、家に住み着かれると繁栄が約束される。全国に伝承のある座敷童の仲間。

ご利益:家内安全

奇跡の清流に棲んでいる、真っ赤な頭の不思議な妖怪

四国や九州にその名を(密かに)轟(とどろ)かせている妖怪、赤シャグマ。地域により赤シャガマ、赤しゃが魔、しゃがまなどと呼ばれるが、赤い髪に子どものような背格好という外見は概ね似通っている。人の家で騒いだり、足の裏をくすぐったりのいたずらはするものの、住み着けば座敷童のようにその家に繁栄をもたらす。「シャグマ(赤熊)」とは神楽衣装に使われる被り毛のことだが、ここでは先の尖った、炎を思わせるような髪型にしてみた。

赤シャグマのルーツを調べるため、高知県立歴史民俗資料館発行の図録をひもとくと、江戸時代末期~明治に刊行された『土佐化物絵本』に「勝賀瀬(しょうがせ)の赤頭(あかがしら)」として、仁淀川(によどがわ)の上流で目撃されたとされる真っ赤な顔の妖怪が紹介されている。何をするでもないがその顔は光り輝き、直視すると眼病となる恐れがあるという。画風は現代の漫画寄りで、全く怖くない。博物学研究家の荒俣宏氏が監修する書籍に赤シャグマと同一視している表記もあり、やはりこれが原点のひとつと言えそうだ。

高知駅から車で約30分、赤頭が出没した地域を流れる仁淀川(によどがわ)は、四国三大河川のひとつとして国土交通省発表の「水質が最も良好な川」に何度も選ばれている。遡るにつれその透明度は増してゆき、「仁淀(によど)ブルー」と言わしめる神秘的な青色に辿り着く。

仁淀川の名所、名越屋沈下橋。増水時は沈むため欄干(柵や手すり)などがなく、幅も車一台分。人も車も慎重に渡る。

残念ながらこの時は降雨により拝めなかったが、下流でも息を呑む美しさだった。角が丸く粒の揃った石に見惚れる。遠くから望めばまるで砂浜のように見える。小鳥のように川遊びをする小学生たちを横目に見ながら、オトナは美味いものを探しに行く。

赤シャグマの故郷に繋がる美しい仁淀川。その恵みを受ける吾川郡(あがわぐん)・いの町(ちょう)の特産には土佐赤牛、生姜などがあり、それらをぎゅっと詰め込んだのが割烹「うを兼」の牛めし弁当だ。老舗の鮮魚店が2021年に割烹料理店としてリスタート。絶品鮎料理はぜひカウンターで、土佐の酒と共にゆっくり味わいたい。

最先端の冷凍技術で旨味をとじ込めた「うを兼」の牛めし弁当。解凍すれば作りたてが蘇る(高知龍馬空港内の売店ICHIBAにて販売中)。

うを兼

〒781-2100

高知県吾川郡いの町1184–7

TEL:088-892-0216

GoogleMap

そして勢いをつけさらに西へ、土佐の一本釣りで知られる久礼(くれ)で戻り鰹を食べ尽くす。漁港からわずか5分の久礼大正町市場にある田中鮮魚店の食堂「漁師小屋」では、新鮮この上ない鰹の刺身とタタキの両方が楽しめる。薬味のニンニクも高知産。風味は強いがさっと抜け、鰹の後味を損なわないそうだ。

高知市内から車や鉄路で約1時間の久礼大正市場。訪れるのは観光客だけでなく、地元の人々の鰹の消費量も非常に多いことで知られる。鮮魚店に併設して、その場で食べられる食堂もある。

鰹の目利き、田中鮮魚店の田中社長は商社の出身。強い火力で短めに炙り、鰹の中のきれいな赤みを残す。季節により柑橘を搾る。塩もタレも合うのでぜひ食べ比べを。

ここでしか食べられない鮮度のカツオは生でもうまい!このために車を走らせる価値は大ありだ。

久礼大正町市場

〒789-1301

高知県高岡郡中土佐町久礼6372-1

TEL:0889-59-1369

GoogleMap

大正市場内
田中鮮魚店 漁師小屋

〒789-1301

高知県高岡郡中土佐町久礼6382

TEL:0889-52-2729

https://www.tanakatuo.com/

GoogleMap

高知空港に戻る道すがら寄ったのは、浦ノ内湾の太平洋に面した入江に浮かぶ、海の上食堂「浮橋」。船と同様、天候により場所を移動することもできる。名物は地元の漁師仕込みの貝しゃぶ(や貝焼き)、出汁が優しくきいた雑炊を最後にすするのは至福の時。

テーブルに置かれるやいなやわあっと歓声が上がる、「浮橋」の見目麗しい貝盛り。色とりどりの長太郎貝の殻は、土産に持ち帰る人も。秘伝の自家製「貝ダレ」を付けるとうまみが口の中に溢れる。

貝は注文ごとに生簀から取り出される。床には穴があり釣りもできるが、それは店主だけのお楽しみ。

滋味溢れる土佐赤牛。網焼きをシンプルに塩で味わう。一頭買いをしているだけあり、最高の肉質!

肉と魚介を海に浮かびながらいっきに堪能できる夢のようなレストラン。妖怪を追いかけて、追い越してみれば、新たな世界が広がった。妖怪さんぽはいつも意外性に満ちている。

海の上食堂 浮橋

〒785-0162

高知県須崎市浦ノ内東分鳴無3715

TEL:0889-49-0240

メニューについては季節や天候により変化するので問い合わせを。

https://ukihashi.com/

GoogleMap

森井ユカ

立体造形家/キャラクターデザイナー ポケモンカードゲームのイラストレーション、 小麦粘土セット『ねん Do!』のディレクションなどを担当。著書多数。

出典:『特別展 あの世・妖怪・陰陽師―異界万華鏡・高知編―展示解説資料集』(高知県立歴史民俗資料館)/『クセがつよい妖怪事典』荒俣宏監修(小学館)/『日本怪異妖怪事典 四国』毛利恵太(笠間書院)/一般社団法人仁淀ブルー観光協議会

取材・文・造形 森井ユカ
撮影 原ヒデトシ
編集 中野桜子

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