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大人のときめきを訪ねて…海グルメと川下りで心を満たす岡山・倉敷のモデルコース

大人のときめきを訪ねて…海グルメと川下りで心を満たす岡山・倉敷のモデルコース

ENTERTAINMENT 岡山県

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数千もの伝承の中から、都道府県ごとに一匹の妖怪を選び、造形作家森井ユカの独自の解釈で創造しました。妖怪に誘われるがまま旅すると、美味しいもの、きれいな景色に必ず出会える!? ようこそ、空飛ぶ百鬼夜行へ。

岡山県・すねこすり

ご利益 一路平安

雨の夜は外出控えよ。足にまとわりついてすねをこすりつけてくる妖怪
犬に似た姿をしていて、雨の日の夜に現れ、通行人の足の間に体をすり寄せながら通り過ぎる。ただ邪魔をするだけで悪さはしないが、気味が悪いので雨の日の深夜は外出を控える人々も多かった。

人の願いを受けて生き続ける 妖怪と郷土玩具に会いに行く

岡山の東西を通る愛すべきローカル線、井原(いばら)線の井原駅周辺が伝承地とされ、小道の灯(あか)りもままならぬ大昔に出没したとされる妖怪。どの文献にも「犬のような」とあるだけではっきりした姿は記されていないが、雨の夜、特に急いでいるときに出現しては足にまとわりつき、すねをこするためこう呼ばれている。

明治中期まで語り継がれたとのことだが、街に広く電灯がつき始めた頃と一致するため、妖怪の出番もなくなったということか。筆者はどちらかといえば猫に近い、すばしっこそうな姿で造形してみた。

この妖怪のおかげで雨の夜の外出は控える人も多かったそうだが、確かにそんな夜は出かけないほうがいいに決まっている。

妖怪は人を映す鏡であり、道徳観や注意喚起を後世に伝える役目も担っている。

岡山県でどうしても訪ねたかったのが、井原駅から岡山駅のちょうど中間あたりの倉敷にある、「日本郷土玩具館」。1967年にオープン、江戸時代から昭和までの、日本各地のありとあらゆる郷土玩具が約1万点収蔵されている。

これらの中には架空の生き物や妖怪も多く、大変に見応えがある。作り手の願いや信念が込められた、いわば「お守り」であるため一点一点が愛おしい。妖怪を追いかける者として、また手で造形する者として、ここは来るべき場所である。

「日本郷土玩具館」では今年の干支、午(うま)が並ぶ。所蔵品は多数あり、たびたび入れ替わる。古民家を改装し高い天井を活かした展示空間は、凧やお面のコレクションが壮観。

日本郷土玩具館

岡山県倉敷市中央1-4-16

086-422-8058

https://gangukan.shopinfo.jp/

優雅な庭園ランチの後は軍手とトングの網焼きへ

ゆったりと水面散歩ができる「くらしき川舟流し」。江戸の商人街である倉敷を体感できる

日本郷土玩具館は、観光客が多く訪れる「くらしき川舟流し」の川のそばに建つ蔵を改装して作られていた。短い水路だが、舟流しを体験すると、街の成り立ちや歴史が理解でき、倉敷をより深く知ることができる。一番良いのは桜の時季だそうだが、冬季は冬季で趣があった。

くらしき川舟流し

岡山県倉敷市中央1-4-8

086-422-0542

https://kankou-kurashiki.jp/special/kawafune/

「武野屋別邸」の「庭園アフタヌーンティー」が並ぶと、どの卓からもシャッター音がひっきりなしに聞こえる。工夫を凝らした季節のプチケーキ、揚げ物に手毬寿司などランチとしても大満足

そしてここ倉敷にある、築150年の古民家を改装した和食店「武野屋別邸」では、「庭園アフタヌーンティー」を堪能できる。地の素材を多く使ったバリエーションあふれる料理は風味豊かで、各地との交易で栄えた倉敷らしく、自由で華やかな盛り付けにも心が躍った。

武野屋別邸

岡山県倉敷市阿知3-18-18

086-422-5335

https://bettei.takenoyakurashiki.com/

Instagram @takenoyakurashiki

正統派の舟盛りはサーモン、マグロ、シャコ、ブリなど魚種とりどりで華やか

岡山空港への帰路の途中訪れたのは、階下が鮮魚店であるためとびきり新鮮な海鮮をいただける魚料理「はまゆう」。正統派の舟盛りに、その場が一気に盛り上がる。県外から出張で来たらしき隣の席のサラリーマンたちに聞くと、あまりの満足度に2日連続で利用しているという。一度来るとファンにならずにいられないらしい。

はまゆう

岡山県岡山市北区桑田町16-20

086-232-5115

「五味の市」向かいのBBQエリアでは、一つのテーブルに5人までがコンロを囲み、いつもより話も弾む

最後はこれで〆(しめ)なければ後悔するに違いない、寄島(よりしま)漁港で養殖された1年ものの寄島牡蠣が直売される「五味の市」へ。直販だからとにかく安くて新鮮。そして向かい側には手ぶらで利用できるBBQエリアがあるので、そのまま牡蠣を持ち込み、網焼きができる。これは思ったよりもずっと楽しかった。調味料も用意されているが、潮の味だけで大満足。

暗くなるまで牡蠣に食らいつくが、西日本は日が長く、そして岡山は特に晴れが多いので、すねこすりと会うのは簡単ではなさそうだ。岡山に来て天気が崩れたときの楽しみにとっておこう。

五味の市

岡山県備前市日生町日生801-8

0869-72-3655

https://www.hinase.net/gominoiti/

参考
『倉敷動物妖怪展at自然史博物館』(倉敷市立自然史博物館)
『岡山文庫290岡山の妖怪事典―妖怪編―』木下浩(日本文教出版)
『岡山文庫323博物学者佐藤清明の世界 附録「現行全国妖怪事典」』佐藤清明資料保存会(日本文教出版)
『定本柳田國男集第四巻』柳田國男(筑摩書房)

「ニッポン47妖怪さんぽ」が2025年度グッドデザイン賞を受賞いたしました!

取材・文・造形 森井ユカ

立体造形家/キャラクターデザイナー ポケモンカードゲームのイラストレーション、「コネコカップ」「ネゴ」のデザイン、粘土遊びセット『ねんDo!』のディレクションなど。著書多数。

撮影 原ヒデトシ
編集 中野桜子

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