ストックホルムロースト発祥 スウェーデンが生むマイクロロースターと革新的なダイニング
インテリアやテキスタイルをはじめ、男女平等、福祉の充実などの先進性でも憧れを集めるスウェーデン。この国で特にこよなく愛されているのが、温かい飲み物とスイーツを嗜む「フィーカ」の習慣なのだという。質の高い味を追求するコーヒーロースターがさらなる挑戦としてオープンしたレストランは、またたく間に予約が取れない人気店へ。ぜひ訪れたい新名所となりそうだ。
一杯のコーヒーから、カルチャーの奔流を生み出す
フィーカには温かい飲み物が欠かせないが、その代表例はやはりコーヒー。濃いめに入れた深煎りを好む人が多く、ちょっとしたカフェスタンドなどでも、強いこだわりを有する店は多い。
それを実現しているのが、小規模ながら自家焙煎をおこない豆を販売するマイクロロースターたちだ。東京にも複数の店を展開している「ストックホルムロースト」もそのひとつ。しかし、彼らが提供するのは豆だけにとどまらない。「大好きなコーヒーを通じて、ライフスタイルを打ち出す場所をつくりたかった」と、創業者のひとりであるオナーさん。
「ここはカフェというよりスタジオのような場所。近隣のデザイナーや映画関係者、写真家などが訪れ、コミュニティの中核になっています」
Stockholm Roast
Hallvägen 9, Slakthusområdet, Johanneshov
上質なくつろぎの知見を核にした、人気沸騰中のレストラン
オナーさんたちが焙煎所の隣へオープンさせた「バーモンタン」は、スタイリッシュなダイニング。
「シェフやウェイターだけが中心になるのではない視点から、クレイジーなものをつくりたくて始めました」。
古い工場を改装した広い店内は、完全予約制のレストランとウォークインのバーを完備。小さく静謐(せいひつ)なエントランスから開けた空間へ足を踏み入れる茶室さながらの仕組みや、つぎはぎに着想を得たアップサイクルのカーテンなど、日本へのオマージュもそこかしこに。
Bar Montan
Slakthusområdet Förbindelsehallen, Johanneshov
案内人 ヴェントゥラ愛
写真 伊達直人
コーディネーション 明知直子
取材・文・編集 山下美咲