多様性あふれるパリの食 異国の味覚が融合する街の大衆食堂を訪れる
多様性が融合して「パリのオリジナル」を織りなす
フランスの食というと伝統的なフレンチの印象が強いかもしれないが、実際のパリ市民は軽々と僕らのその古い印象を乗り越え、多国籍を楽しんでいる。今のパリの食事やレストランから見てとれるのは「多様性」。パリならではの感性に、いい感じに多様な食文化が交じり出している。実際“人種のサラダボウル”であるのがフランスであり、これが自由でリアルな姿。
パリで行列ができる中華 GROS BAO(グロ・バオ)
行列ができる中華「グロ・バオ」は、サン・マルタン運河沿いでギラッとした赤い照明を一際輝かせる。本場の中国人を交えて創り出したブランディングでありながら、パリに建つとやっぱりどこかパリオリジナルが滲み出すのが新しい。
赤で統一された店内のインテリアや照明、そして大きな中国語ロゴの看板はオスマン建築や運河の街並みと交じり合い、なんとも映える。
運河に面してテラス席やビールサーバーが並び、暖かい時季は行列ができる人気店。インターナショナルなスタッフで活気に溢れる「パリの中華」のマリアージュはこの地区の楽しさを味わうのに外せない。
GROS BAO(グロ・バオ)
アフリカを感じるBMK Folie-Bamako(ベ・エム・カ フォリー・バマコ)
アフリカ料理店も、料理は本場の味でありながら、アフリカンカルチャーをミクスチャーしたパリ。
パリのアフリカ人コミュニティは大きい。店内はアフリカンファブリックの柄をセンスよく使ったデザインで、女性客も多くこの日も予約でいっぱい。ピーナッツベースのソースやココナッツを使った優しい味わいで、アフリカ人のスタッフに尋ねると「故郷の母の味にとても近い」と言う。
BMK Folie-Bamako(ベ・エム・カフォリー・バマコ)
パリでは貴重なクルド料理 Urfa Dürüm(ウルファ・ドゥルム)
行列のできるクルドサンド店。パリで数少ないクルド料理店の最初の店。
石釜で焼く生地に、ラム肉を炭火で串焼きし、野菜とともに包んで食べる。これが絶品と観光客にも地元客にも評判。奥に案内されると大きな冷蔵室があり、なんとラムが一頭買いされている。
切りたてのラムはどの部位もジューシー!オーナーのこだわりが伝わる。
クルド人の営むクルドサンド店はパリでも珍しい。現地味で勝負し、パリの人でも賑わう。
フランス以外の国々の文化を受け入れながらみんなで新しいカルチャーを作っていく。そんな今の街を見渡すと実に愛おしい。
Urfa Dürüm(ウルファ・ドゥルム)
10 Rue du Faubourg Saint-Denis, 75010 Paris
パリの大衆食堂 Bouillon(ブイヨン) クラシックこそが目新しい
BOUILLON(ブイヨン)とは、19世紀末に誕生した大衆食堂のこと。日本人の大衆食堂のイメージとはかけ離れているが、これがフランスの「大衆食堂」。
「シャルティエ」はブイヨンの中でも老舗。パリに滞在したら誰もが訪れる有名店だが、注目したいのは今また、ローカルの若者の間でリバイバルしているということ。
テーマパーク顔負けの大行列をなす。店内は1896年創業当時の雰囲気を貫いており、赤いロゴマークは近年リニューアルしたのかと思うほど、古びない。時代を超えてかわいいと思われる造形を生み出した当時のパリジャンのセンスに脱帽する。
注文すると、紙のテーブルクロスが伝票代わりに!
毎日行列を作るが、席数があり回転率もよいので並ぶ価値あり。
慣れ親しんだご老人から子連れのファミリー、観光客も押し寄せることは今も昔も変わりない。伝統的なフランス料理がほとんど10ユーロ前後で食べられる大変お手頃な食堂。年中無休で迎えてくれるのも嬉しい。おいしくて安くて活気ある食堂はいつの時代も大盛況ということ。
BOUILLONCHARTiER(ブイヨン・シャルティエ)
案内人・語り 細山田光宣
案内人・コーディネート 細山田亜弥
本文デザイン 千本聡(細山田デザイン事務所)
写真 神戸シュン
取材・文・編集 中野桜子
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