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ミュンヘンの食とビール文化 都市と自然を繋ぐ食の空間を楽しむ

ミュンヘンの食とビール文化 都市と自然を繋ぐ食の空間を楽しむ

TRAVEL 2025.07 ミュンヘン特集

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オクトーバー・フェストに象徴される“ビールの都”であると同時に、バイエルン州はビールと人の営みが深く結びついた土地でもある。北部に広がる世界最大のホップ産地ハラタウでは、毎年豊かなホップの実りを収穫。ビールは単なる嗜好品ではなく、農業と発酵文化、季節と労働が結びついた知の産物としてこの地に根づいてきた。

緑の丘ヴァイエンシュテファンでは、約1000年前に修道士たちがこの営みを始め、今も世界最古のブリュワリーとして伝統を守る。

Bayerische StaatsbrauereiWeihenstephaner

ビール文化は単なる嗜好を超え、自然との共生と地域社会の絆を象徴してきた。その源流が、1040年に修道院の醸造所として始まり、現在も世界最古の醸造所として知られるバイエルン州立ヴァイエンシュテファン醸造所。伝統を守りながらも世界最新の研究拠点として革新を続け、その製法と哲学は世界各地の醸造に生きている。

www.weihenstephaner.de

一方、ギージンガー・ブロイのように市民の共感と支援により新たな醸造所も誕生し、土地と人、ビールとの新しい関係を紡ぐ。ビール造りとは大地に寄り添い、技と時間と心を注ぐ営み。これもまた、ミュンヘンが育んできた“緑の哲学”の一つの形。

Giesinger Bräu

2005年にガレージから始まったギージンガー・ブロイ。本場ミュンヘンのオクトーバー・フェストに参加するには、この地の水脈を使用したビールでなければならないルールがあるため、クラウドファンディングで資金を集め、見事に水脈を掘り当て新醸造所を設立した。地元産ホップと水にこだわり、地域と共に歩む“新しい伝統”を体現している。※現在参加を要請中

http://www.giesinger-braeu.de

都市と自然を繋ぐ食の空間

18世紀から変わらぬ場所で時を繋いできた、ミュンヘン最古のカフェのひとつカフェ・タンボジ。オデオン広場に面し、ホーフガルテンの緑に寄り添うように佇む。バロック様式が特徴の古城のような趣の屋内と、公園に面したテラス席がある。都市と自然、人と人とを繋いでいる。

かつて王室の植物園として使われた温室が、今では緑あふれるレストランに。ニンフェンブルク城の静寂な庭園に佇むシェロスカフェでは、100年以上前のガラス建築が優雅に自然光を受け止め、植物たちと人間が共に息づく。都会の喧騒から切り離された空間で、地元の旬を味わう食卓は、まさに“緑の哲学”を体現している。

Schlosscafé im Palmenhaus

名物のドーナツ菓子「シュマルツヌーデル」で知られるこちらは、革新よりも継承を選び小麦と酵母、油が織りなすシンプルな味を届ける。変わらぬ手仕事の味は、自然素材を尊び、飾らぬ美味しさ。その素朴な甘さと香ばしさが語るのは、人と街の記憶のあたたかな共生に他ならない。

ソフィテルホテル内にありながら都市の喧騒を忘れさせる店内では、川や大地からの恵みである地元産素材を使った丁寧で華やかな料理を提供。持続可能性を意識しながらも季節の恵みを余すことなく活かし、自然と人との調和を追求する思想を感じさせてくれるレストランでもある。

取材・文 山下マヌー 
写真 Dice.M.P. 
編集 小嶋美樹 
コーディネーター 見市知 
協力 ドイツ観光局

<ミュンヘンへの翼>
羽田空港(HND)からANA 直行便でミュンヘンにあるフランツ・ヨーゼフ・シュトラウス空港(MUC)まで、約15時間(毎日運航)。空港からミュンヘン中央駅までS バーン(国営鉄道)のS1、S8、またはバスで約50分。

翼の王国のアンケートにぜひご協力ください。
抽選で当選した方にプレゼントを差し上げます。

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