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マルタのバル巡り 剣をグラスに持ち替えて…武器庫跡のバーで歴史に酔う 

マルタのバル巡り 剣をグラスに持ち替えて…武器庫跡のバーで歴史に酔う 

TRAVEL 2025.05 マルタ特集

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歴史と文化が交錯するマルタ。ここには「歴史に浸りながら飲める」バーやレストランが多く、そういう店を巡るのも、ここならではの楽しみだ。

とくにヴァレッタエリアには、「昔の建物をそのまま使いました」というスタイルの店が目立つ。街全体が世界遺産に指定されていることもあり、昔の趣のまま保存されている建物が多いのだが、むしろそれが新鮮に感じられる。まさに、この国ならではのF&B(フード&ビバレッジ)体験ができるのだ。

元騎士団の倉庫をカクテルラウンジにした The Harbor Club、武器庫を利用した Trabuxu Wine Bar など、歴史のストーリーに刻まれた空間で飲むというのは、まさに「剣を交わした場所でグラスを交わす」という、マルタならではの粋な楽しみ方だと思う。

今回の「翼の王国」マルタ特集の取材では、時間の関係で多くの店には立ち寄れなかったものの、この地で交錯してきた歴史を思い浮かべながらのバーホッピングは、きっと楽しいに違いない。

マルタのバーで注文すべきは、「地元産のアペタイザー」の盛り合わせだ。
外せないのは、マルタ産オリーブのマリネ。ほどよい塩気とオリーブオイルの香りが、「これこそ地中海!」と感じさせてくれる逸品だ。

「ビッグラ(Bigilla)」と呼ばれる、マルタ版フムスもなかなかのもの。そら豆を潰したディップで、パンに塗ったり、野菜スティックにつけたりして味わうのが定番だ。「フトゥイラ(Ftira)」と呼ばれる地元のパンには、トマトペーストやアンチョビ、オリーブオイルをかけるのがマルタオリジナルスタイル。

「昼間の要塞都市」から夜には「社交場」へと変貌するヴァレッタは、まさに歴史と現代が交錯する場所でもある。海から坂を吹き抜けていく海風にあたりながら、騎士団が築いた石畳の上を歩けば、「ここで騎士たちが宴を開いていたのだ…」と、そんな妄想と想像がふくらむ。
「騎士団の遺産は、現代の旅人にも引き継がれている」――そんな感慨に浸りつつ、剣と盾を交えた騎士団の遺産の空間の中で過去と未来を行ったり来たりしながら、ヴァレッタの夜は更けていく。

取材・文 山下マヌー
写真 尾嶝太

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