世界が愛するローカルフード ポケがハワイの「ソウルフード」な理由
2025年4月の「翼の王国」では、ハワイのポケを特集。
ポケとは、ハワイ語でPOKEと表記される料理。時々「ポキ」と呼ぶ人や表記を見かけるが、それは英語での発音。ハワイのソウルフードであるPOKEは、やはりハワイ語の「ポケ」と呼ぶのがふさわしいし、個人的にはハワイの文化への理解につながると考える。

現在のようにPOKEとして認識されるようになったのは1970年代以降。それ以前の歴史を遡れば、ポケの原型は800〜1200年前にまで遡る。ポリネシアやメラネシアからカヌーで移住した人々の食文化が根付き、獲れたばかりの魚をぶつ切りにし、海塩や海藻、ククイナッツとともに味わう食文化が生まれた。これがポケの(料理法の)原型とされる。

POKE とは「スライス」と同じ意味とする説もあるが、本誌内で取材したクッキングスクールのリンダ先生によれば、正しくは「交差させながら切る」という動作を指す言葉とのこと。かつてのハワイの人々は文字を持たず、記録が残されていないため、どちらが正しいのかは定かではない。ただし、いずれにせよ「切る」という動作に由来する点は変わらない。

19世紀になると、ポケが進化。
日本、中国、韓国、フィリピンなどからの移民がハワイへ渡り、それぞれの食文化を持ち込んだ。移民たちがもたらした醤油やごま油、玉ねぎ、唐辛子が、それまでシンプルだったポケの味を大きく変え、伝統と異文化が融合した現在のスタイルが誕生。小さな器の中に様々な人種の味がミックスされたポケ。その背景こそが、ハワイのソウルフードと呼ばれる理由。

当初は「ポケ」が「ポケ」として特別に認識されていたわけではなかったのだが、今に繋がる“ポケ昇華”への転機が訪れたのは、フードランドをはじめとするハワイのスーパーマーケットや専門店がポケの販売を開始したこと。これにより、地元の人々の間で定番料理として親しまれ、次第にハワイのソウルフードとしての地位を確立していったのだ。

1990年代以降、観光客の増加とともにポケの人気が急上昇。2010年代にはアメリカ本土や日本、ヨーロッパへと広がり、「ポケボウル」として世界的なトレンドに。しかし、そのルーツをたどれば、ハワイの海と人々の暮らしの中で育まれたシンプルな料理。ハワイに暮らす多様なルーツを持つ人々の思いと味、郷愁が詰まった料理、それがポケなのだ。
取材・文 山下マヌー
写真 内田恒
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