「WHY?」と問いかけるホテルで暮らしを見直す〜〝未来〟を紡ぐ徳島2
2003年に、日本で初めて「ゼロ・ウェイスト」を宣言した自治体として話題となった上勝町。町にはゴミ収集車はありません。人々はゴミを自らゴミステーションに持ち込んで45種類に分別しているのです。
2020年にリサイクル率80%を達成し、2030年には「ゴミになるものをゼロにする」という目標を掲げ、海外からも注目される町となっていますが、この取り組みは窮地を脱するための苦肉の策だったと、ゼロ・ウェイストセンターの大塚桃奈さんはいいます。
リサイクル率80%の町ゴミのない社会を目指す
「この場所ではもともとゴミの野焼きが行われていましたが、煙や悪臭を理由に禁止されたことで1997年にゴミステーションが作られ、9種類に分別するようになったんです。翌年には焼却炉を導入しましたが、ダイオキシンが問題となって3年で閉鎖。では、この小さな山間の町でゴミをどうしたらいいのかというピンチに、ゴミを『どう処理するか』ではなく『出さない』『減らす』方向へ転換したという経緯がありました」
センターにはゴミステーションや交流ホールのほか、ゼロ・ウェイストを体験できるホテルがあります。「HOTEL WHY」に宿泊することで、「なぜゴミは出るのか」という視点から、いまの暮らしを見つめ直すきっかけになりそうです。
ゴミステーション&ストックヤードの隣にある「くるくるショップ」には、町内から集まった中古品が並びます。家具や食器、洋服など、なんでも誰でも持ち帰り可能。持ち帰るものは重さを計り、減らせたゴミの重さとしてノートに記入します。
宿泊した翌朝には、スタッフから説明を受けながら、町の人々と同じように滞在時に出たゴミの分別を体験できます。
滞在中に使う石鹸やコーヒーなどはチェックイン時に必要な分だけ受け取ります。
レイクサイドの客室からは上勝町の山々やダム湖が眺められます。町内で不要となった建具を組み合わせて仕上げた二重サッシは圧巻です。
HOTEL WHY
徳島県勝浦郡上勝町大字福原字下日浦 7-2
https://why-kamikatsu.jp
撮影:鈴木大樹
取材&文:吉田けい
編集:小嶋美樹