礼文島に咲く日本のエーデルワイス 「花の浮島」で花言葉めぐりを楽しむ
北緯45度に位置する礼文島には、カムチャッカやサハリン、アリューシャン列島と同系のルーツを持つ高山植物が咲いています。
約2万年前、礼文島はユーラシア大陸と陸続きでしたが、氷河期の終わりとともに海面が上昇し、海に囲まれてしまいました。取り残された植物はそのあともずっと生き続け、今では「花の浮島」と呼ばれる礼文島で多くの人々に愛されています。
礼文島には約300種の高山植物が咲くといわれていますが、その中でもレブンアツモリソウは島を代表する固有種として親しまれています。
開花時期は毎年5月下旬から6月上旬頃。まだ肌寒い時期に、ほかの花より早く花を咲かせます。丸くて可愛らしい花はニワトリの卵ほどの大きさで、風が吹くとコロコロと揺れます。
花言葉は「君をわすれない」。フェリーターミナルや道路脇でたなびく旗など、島のいたるところで見かける礼文町のマスコットキャラクター「あつもん」のモデルにもなりました。
一部の群生地にしか咲かない貴重な植物なので、国の絶滅危惧種として大切に管理されています。
礼文島にはレブンウスユキソウという固有種も咲いています。ヨーロッパアルプスに咲くことでも有名なエーデルワイスの仲間で、開花時期は6月中旬から8月まで。
花芽からのびる葉は淡い白色で、雪がうっすらと積もっているような姿から礼文薄雪草と名付けられました(図鑑などではエゾウスユキソウと説明されることもあります)。
礼文町の町花にも指定され、群生地には毎年多くの人々が訪れます。花言葉には「初恋の感動」または「大切な思い出」などがあります。
本州では高峰でしか見られない高山植物がひしめく礼文島。春から夏にかけて、島はたくさんの花たちで彩られます。
島には約50種の花を楽しめる高山植物園もあります。レブンアツモリソウとレブンウスユキソウはどちらも指定の群生地があるので、島の観光情報を確認して会いに行きましょう。
文・写真 柏倉陽介
<礼文島への翼>
礼文島へは東京(羽田)などからANA便で稚内空港へ。稚内空港からバスで約40分の稚内港フェリーターミナルからフェリーで香深港まで、約1時間55分。