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日本の出汁文化を支える鹿児島「本枯節」 新鮮鰹と時間が風味を育てる

日本の出汁文化を支える鹿児島「本枯節」 新鮮鰹と時間が風味を育てる

TRAVEL 2025.07 鹿児島特集

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燻製のスモーキーな香りが工場じゅうに満ちる。鰹節は、日本人の食の根幹ともいえる重要食材。中でも「本枯節(ほんかれぶし)」は発酵によるカビ付けが行われ、旨みが深くなる。本枯節でつくられる鰹節の生産量トップは鹿児島県。

鹿児島県の中でも本枯節をつくる鰹節工場は多くないが、指宿(いぶすき)市山川地区は本枯節の生産量日本一であり全国の約7割を生産している。山吉國澤百馬(やまきちくにさわひゃくま)商店は、原料である近海一本釣り鰹に最も近い場所、指宿市山川港で行われている。今や希少となった一本釣りで漁獲される鰹にこだわり、職人の手で丹念に加工される。

鰹節の形は、鰹の部位と切り方によって決まる。最初に行われる「生切り」と呼ばれる工程は、まさに職人の技にかかっている。鰹の質やサイズを見極め、朝早くから一日に2000〜3000尾もの鰹を全て手作業で切り分ける。切り口はその職人の技の証(あかし)であり、見れば誰が切ったものかわかるとまでいわれる。最後の生切りを担う専務の迷いなき刃捌きは、まさに圧巻。

切り方はもちろん、並べ方一つにまで気を配る。鰹の風味や形、価値を左右するこの細やかなこだわりが、本枯節の価値を高める。何日にも及ぶ工程の中で、カビ付けや発酵、乾燥、そして湿気との戦いが繰り返される。職人の鋭い眼力と繊細な手仕事があってこそ、この日本の誇る伝統が受け継がれているのだ。

山吉國澤百馬商店

0993-34-2490

https://hyakuma.co.jp/ (オンラインストア)

えもいわれぬ豊かで奥深い風味 地産にこだわり抜くことで生まれる、旨みの共鳴

「出汁(だし)のおいしさをダイレクトに味わってもらえて、何より食品ロスのない料理だと思うんです」と語るのは、鹿児島市のしゃぶしゃぶ店「梅屋」代表・梅北奈鼓(うめきたなこ)さん。

鹿児島の名物料理だけに、店ごとの出汁の配合が命となる。山吉國澤百馬商店の鰹節をはじめ、鯖節(さばぶし)や昆布を重ねた旨み豊かな梅屋の出汁は、直球で味覚を打つ力を持つ。肉の前に必ず、まずは出汁だけを味わう。深い旨みに圧倒され、これは確かに最後の一滴まで飲み干したくなる。梅北さんの食品ロスの話と繋がり、納得する。

地産にこだわり、出汁はもちろん、肉も鹿児島産。生産者の想いを丁寧にすくい取った料理を体験できる。コンセプトは「出汁だけで食べられるしゃぶしゃぶ」。創業当時は「ポン酢はないの?」というお咎(とが)めもあったが、後にそのおいしさに納得してもらえるように。まず一番出汁を飲んだあと、山盛りのねぎを入れ、肉と食べる。ねぎ、肉、野菜と入れるたびに旨みが変化する。肉は県産にこだわり、黒豚、黒牛、薩摩地鶏を使用。しゃぶしゃぶの出汁に合う珍しい県産の芋焼酎やウイスキーもぜひ堪能したい。

しゃぶしゃぶ梅屋

鹿児島県鹿児島市新屋敷町27-1チェリービル2F

099-227-7488

https://kagoshima-umeya.com/

Instagram @shabu.umeya.kagoshima

撮影 神林環
取材・文・編集 中野桜子

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