メインコンテンツにスキップ
玉露スパークリングワインに煎茶マティーニ…一滴で変わる茶と酒のコラボレーション

玉露スパークリングワインに煎茶マティーニ…一滴で変わる茶と酒のコラボレーション

TRAVEL 2025.01  福岡特集

share

その一滴に魔法をかける。伝統ある八女の茶の力強さ

1300年以上昔、福岡は日本の玄関口として鴻臚館を構え、唐や新羅、百済など他国からの使者を迎え、大きな貿易の舞台として栄えた。質の高い工芸、音楽などが集まるなか、茶もここに伝わったとされる。嗜好品としても薬としても愛された茶は、その後も深く根付くことになる。八女茶を代表とする福岡の茶の質の高さは日本でもトップクオリティ。伝統あるものこそ、その表現に変化をつけるのは難しいが、ここに「飛ぶほど美味いお茶があるよ」と聞いてきた。

茶酒房「万」は、ちょうどその鴻臚館跡地に店を構える。銅製円炉の釜を囲むカウンター席に、湯を注ぐ音が心地いい。

季節の煎茶マティーニ。ハーブやエスプーマを使ったクリーミーなジンと茶が共鳴し合う。

最初に注がれたお茶は一滴の雫。何の気なしに口に含めば、味わったことのない濃さと、あとからあとからやってくる何層もの複雑な味わいに目を見開く。飛ぶ、という表現は大袈裟だなんて思っていた。そこからは味わったことのないめくるめくお茶の世界。2煎目、3煎目、お茶の種類、抽出方法、温度、ペアリング。昼のお茶も夜のお茶も、贅沢な味がする。

名店「アサコイワヤナギ」のジェラートを最中と。オリーブオイルがびっくりするほど合う。

ほうじ茶ハイボール。目の前でほうじ茶を焙煎し、茶葉をウイスキーで抽出。香りの調和がすばらしい。

日々お茶と対話をしその繊細な変化を汲み取りながら一滴を注ぐという、主任の志農さん。

万 yorozu

福岡県福岡市中央区赤坂2-3-32

Tel.️092-724-7880

電話予約をおすすめします。

https://www.yorozu-tea.jp

Instagram @yorozu.tea

茶酒

自家製の茶酒は20~30種類。店内には実験室にあるような茶酒を作る機械が置かれる。

他にない飽くなき探求をするバーテンダーがいる。「ミクソロジー(Mixology)」という言葉を知る人は日本にはまだ多くないかもしれない。「mix」と「〜ology」を合わせた造語で、酒にフルーツやハーブなどを混ぜたカクテルの総称。

日本最高峰茶「八女伝統本玉露」を抽出して酒を作り、マティーニに。「八女伝統本玉露“雫”マティーニ」。八女の茶葉は旨みを熟成させるため、稲わらの日よけをかぶせるが、そんな遊び心のある演出。

1990年代にロンドンで生まれ、世界的に広まったと言われる。この技法を日本伝統の茶で表現し、「茶酒」を作っている「Japanese Salon 雫」の店主・髙橋宏明さん。研究を重ね、自家製の「茶酒」を生み出す。バーテンダーの領域を超え研究者ともいえよう。

巨峰とほうじ茶のカクテル。見た目に美しく、飲んだときの爽やかなマリアージュは感動的。フルーツと、クセや渋みのある茶がピタッと合わさる。

Japanese Salon 雫

福岡県福岡市中央区大名8-25 杉の宮マンション 1F

Tel.️092-707-1975

Instagram @japanese_salon_shizuku

福岡への翼
福岡へは東京(羽田)などからANA便で福岡空港へ。

福岡のおすすめホテル