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ギネス認定の宇宙飛行士・野口聡一 「地球という生命体をいかに守るか」

ギネス認定の宇宙飛行士・野口聡一 「地球という生命体をいかに守るか」

LIFE STYLE 旅の出会い

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才人が旅先で出会った忘れえぬ光景を綴る。今回は日本が誇る、ギネスも認定した宇宙飛行士。

野口聡一

1965年、神奈川県生まれ。3回の宇宙飛行に成功し、15年間で4回の船外活動を行い、世界で初めて3種類の方法で宇宙からの帰還を達成した。2022年、JAXAを退職。現在は講演活動や大学での教育、研究活動を精力的に行う。今年2月、「宇宙飛行士・野口聡一の着陸哲学に学ぶ 50歳からはじめる定年前退職」(主婦の友社)を上梓した。

ちょうど20年前の2005年7月、私は初めて宇宙に飛び出しました。

宇宙空間から眺めた地球は想像の何倍も明るく、その美しさに圧倒されたのを昨日のことのように覚えています。ゆっくりとした自転、少しずつ形を変える白い雲、時間とともに輝きが移ろう青い海……、その姿は言葉では言い尽くせないほどダイナミックで、私は「生きている地球」を実感したのです。

その初フライトから始まり、2009年12月、2020年11月と私は3回のミッションに参加し、あわせて4回の船外活動も行いました。スペースシャトルによる滑走着陸、地上へのパラシュート降下、そして海上へ着水という異なる3つの方法での帰還、また、15年のブランクを経て船外活動を行った宇宙飛行士として、2つの部門で、私はのちにギネスに認定されることにもなりました。

計345日、宇宙に滞在しましたが、その“旅”では2つの印象深い出会いがありました。一つはもちろん、宇宙飛行士の同僚との邂逅(かいこう)です。地球を遠く離れた場所で、時間と経験を共有できた延べ40人の仲間のことを、私は生涯忘れることはありません。

そして、もう一つ。胸に刻まれているのは、やはり“地球との出会い”です。ここに暮らす私たちにとって、地球とは不可分なもの。しかし、外に一歩踏み出し振り返ったことで、私は初めて一つの物体、いや、一つの生命体としての地球と相対することができたのです。そして、思いました。人類よりもはるかに長い、46億年もの歳月を生きてきたこの美しい星を守るため、私たちにできることはなんだろうかと。

写真は3回目のミッションで滞在したISS(国際宇宙ステーション)から、超高感度撮影した東京の夜景です。明るい地球のなかでもひときわ眩(まばゆ)く、400キロ上空からも浮かび上がるように輝いて見える、それが私たちの国・日本でした。

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