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上白石萌歌が南フランスで撮った「死ぬ前に訪れたい」マティスの聖地

上白石萌歌が南フランスで撮った「死ぬ前に訪れたい」マティスの聖地

LIFE STYLE 旅の出会い

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才人が旅先で出会った忘れえぬ光景を綴る。今回は演技に、歌にと多彩な才能を発揮しているアーティスト。

写真・案内人 上白石 萌歌

鹿児島県出身。2011年に第7回「東宝シンデレラ」オーディションにて当時史上最年少の10歳でグランプリを受賞。‘12年にドラマ「分身」で俳優デビュー以降、数々の映画、舞台、ドラマに出演。‘19年に、映画『羊と鋼の森』で第42回 日本アカデミー賞 新人俳優賞を受賞。またadiue名義で音楽活動も。4月からスタートするTBS金曜ドラマ「イグナイト-法の無法者-」では初の弁護士役に挑戦。4月25日公開の映画『パリピ孔明THE MOVIE』ではドラマに引き続き、ヒロイン・英子を演じる。

こちらは、南フランスを旅したときに撮影した写真です。なかでもこの写真が、とくにお気に入りです。海辺の町の、坂道の下から見上げるようにしてシャッターを切ったら、ちょっと、どこかの惑星のような写真が撮れました。知らない惑星を人々が歩いているような……。私、余白のある写真が好きなので。自分でも「いいものが撮れた」と思ってます。

南フランスを旅したいちばんの目的は、マティスです。私は画家のマティスが大好きなんです。彼が死を迎える直前、最晩年に作った、彼の最高傑作と言われている「ロザリオ礼拝堂」が南フランスのニースの郊外、ヴァンスにあるんです。「これは私も死ぬ前に、なにがなんでも見ておきたい」と、そう思いまして(笑)。それで一昨年の秋、プライベートで訪問しました。

南フランスの写真もそうですし、先にご紹介したメキシコで撮った写真も、すべてフィルムカメラで撮影しています。最近はスマートフォンでも綺麗な写真が撮れますし、コンパクトなデジカメも人気ですが、私はやっぱり、昔ながらの、ちょっとレトロなフィルムカメラに愛着があります。いちばん最初は祖父から譲り受けたカメラを使っていました。家族みな、カメラが好きで。私は父から撮影の仕方を教わりました。

あれは、私が16歳のときです。父が「カメラにこんな写真が眠ってたよ」と、ずっと以前に撮影したままになっていたフィルムを現像してくれたことがありました。そこには、本当に幼いころの姉と私が写っていて。それが感動するほど、すごくいい写真で。その経験から「時間や光が眠っている、それがフィルムなんだな」と強く思うようになりました。

それに、日本は地震や災害が多いので。画像データって、水没してしまったりすると消えてしまったりしますが、フィルムなら、少しぐらい傷んでしまっても修復は可能ですよね。そういう意味でも“残っていくもの”だと思うので。最近はもっぱらフィルムカメラで撮ることが多いんです。

その意味で、私は映画も大好きなんです。フィルムで撮られた映画が、いまもたくさんリバイバル上映されますよね。私も、次代に残せる作品を一つでも、この先、私自身がいなくなっても、自分より長生きする作品を作りたい、残したいという気持ちがすごく強いです。あ、でも、まだまだ私は生きてますけど(笑)。私自身、長生きしながら、ずっと先々まで“残っていくもの”を、これからも作っていきたいです。

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