毎月東京・大島に通っています 150人が殺到する頭痛外来を医師が続ける理由
毎月第3金曜日、私は伊豆七島の大島で外来診療を行っています。
先月号で、私は“フランク・シナトラとの出会い”について書きました。南カリフォルニアで偶然にも彼の墓標の前に立ち、彼が生前、私財をなげうち医療施設を開設するなど多くの人に手を差し伸べていた事実を知った私は、医師としての我が身を省みることができたのです。
その数年後。私は「大島医療センター」で開かれる市民講座に登壇しました。頭痛や耳鳴り、めまいについてのお話をさせていただいた直後、私は大勢の島民の方たちに囲まれました。皆さんは異口同音に「先生の診察を受けたい、でも大学病院やクリニックに通うには、ここからは遠すぎる」と訴えていました。
当時も、私は多忙を極めていましたから、最初は「大島で外来診療を」という皆さんの要請をやんわりとお断りするつもりでした。
しかし、口を開きかけた瞬間、不意にあの“出会い”が胸中に蘇ったのです。本来、自分とは縁のない医療に貢献したシナトラ。いっぽう、いま私の前にはこんなにもたくさんの頭痛に悩む方たちがいる。ここで目をつぶって、どうして頭痛専門医を名乗れようか。なにより、私と同じ東京都民であるこの方たちが、離島にお住まいというだけで医療へのアクセスを制限されてしまうという不平等は看過できない――。
こうして私は、10年ほど前から毎月、大島に渡ることになりました。毎回の外来診療には150人を超す患者さんが来院、ここでも私はてんてこ舞いの忙しさです。
でも、島の名物で生命力あふれる明日葉(あしたば)や、新鮮な魚介をいただける楽しみがあります。とくに、含有するマグネシウムに脳の血管を安定させる作用が期待できる明日葉は、日ごろ頭痛でお悩みの方々にもおすすめしています。
笑顔になる処方箋
特産の明日葉で脳を安定……東京の離島で気分転換
脳神経外科医・清水俊彦(しみず・としひこ)
脳神経外科医。医学博士。1958年、京都府生まれ。日本医科大学医学部卒業、東京女子医科大学大学院博士課程卒業。現在、東京女子医科大学をはじめとする複数のクリニックで頭痛外来を担当し、一日あたり数百人の患者さんを診察する、頭痛研究の第一人者。著書やメディアへの出演も数多い。
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