メインコンテンツにスキップ
スポーツ事業の成功で日本中を元気に ジャパネット髙田社長が挑む地域創生

スポーツ事業の成功で日本中を元気に ジャパネット髙田社長が挑む地域創生

LIFE STYLE 旅で解放する

share

トップアスリート、アーティスト、経営者が通う会員制パーソナルトレーニングジム「デポルターレクラブ」代表の竹下雄真さんが、各界のトップランナーと対談し、旅を通したウェルネスや仕事術、地域創生などのお話を伺う連載。第3回目のゲストには、ジャパネットホールディングスの代表取締役社長兼CEOの髙田旭人さんをお迎え、「スポーツを核とした街づくり」をテーマに、ジャパネットが手がけた長崎スタジアムシティの特徴や民間主導による地域創生、そして、旅の思い出についてお話を聞きました(全5回の5回目)。

目指すはB1とJ1のダブル優勝 長崎からのアジア制覇

竹下 長崎スタジアムシティは、2024年10月14日の開業から約半年で来場者が約250万人と発表されました。地域に根付くまでにはご苦労もあったと思いますが、今の課題をお聞かせいただけますか。

髙田 バスケットボールは、クラブの設立からしばらくはかなり苦労しました。でも、チームが頑張ってくれたおかげで、B3、B2と1シーズンごとに昇格し、誕生からわずか3年という最短でのB1入りを達成したこともあって、集客も順調に推移しています。サッカーに関しては、昨年、PEACE STADIUM Connected  by SoftBankで迎えた4試合は全てチケットが完売しましたが、シーズンを通して2万席を満員にするためには今年が勝負だと思っています。

竹下 7年ぶりのJ1復帰は悲願ですね。

髙田 J1に昇格してからがスタートだと思っています。目標は、長崎スタジアムシティでJ1優勝を飾り、さらに、ACL(アジアチャンピオンズリーグ戦)を制覇すること。おそらく、現状においては誰もそんなことを想像していないと思うのですが、私達は、いつか現実のものにしたいと考えております。長崎スタジアムシティでJ1とB1ダブル優勝を達成したとき、長崎の方は、長崎を誇らしく感じるのではないかなと思います。

竹下 誰も想像していないとおっしゃいますが、長崎スタジアムシティの設備を目にしたら、優勝が無理とは誰も思わないのではないでしょうか。逆に、僕はダブル優勝をやってのけると思います。

髙田 そう言っていただけると嬉しいです。地方都市のチームが達成することに意味があると思っています。

スポーツと音楽は生きる喜びを創出し幸福度を上げる

竹下 改めて、プロスポーツクラブの発展が地域にもたらすメリットについてどのように考えていらっしゃいますか?

髙田 やはり、スポーツと地域創生は非常に相性がいいですね。サッカーを例にとれば、長崎であろうと東京や大阪といった都市であろうと、サッカーの本質は変わりません。長崎のような比較的小さい都市でも、大阪のような大都市のチームと対等に戦えるという事実は、地域の人々に誇りをもたらします。ガンバ大阪との試合に勝利する瞬間は、長崎の人々にとって非常に誇り高いものとなるでしょう。そういう意味でも、地域創生においてスポーツの存在は欠かせません。スポーツがなかったら地域の活気は大いに失われてしまうと思います。私自身、常々考えているのは、1万人以上の集客力が見込めるのは、音楽とスポーツしかないだろうと。そのため、私達はその両方を長崎スタジアムシティで実現させたいと思っております。

竹下 世界的にも、スポーツと地域が密接に結びついて成長する例は多いと思います。

髙田 おっしゃるように、地域と共に発展する姿が見られます。ドイツ男子サッカー国内リーグのブンデスリーガでは、人口6〜7万の町でもスタジアムは2万人のサポーターで埋まります。ボルシア・ドルトムントの本拠地「ジグナル・イドゥナ・パルク」は、収容人数8万人以上を誇る巨大スタジアムですが、全試合満員になるほどの人気です。やはり、同じ場所で、同じユニフォームを着て、同じ歌を歌い、同じ感情を共有することは、生きる喜びそのものだと思います。スポーツ観戦を通して毎週のようにそれを実感できるのは、このうえなく素晴らしいですよ。

©VVN

竹下 そういうお話を聞くと、人間の心と体を支える「三大ホルモン」が思い浮かびます。三大ホルモンには、セロトニン、オキシトシン、ドーパミンがあり、これらのホルモンは、人間の行動をつかさどり、心身の健康に不可欠な要素です。セロトニンは感情を安定させ、睡眠を整えるホルモンで、日光を浴びたり、ウォーキングなどのリズム運動をしたりすることで分泌されます。長崎スタジアムシティのような美しい施設を歩いていたら、自然に足取りも軽くなり、たくさん歩いても疲れないと思います。

オキシトシンは他者とのつながりや愛情を感じるときに分泌され、絆を深めるホルモンと言われています。家族や友人と一緒にスポーツを観戦することでオキシトシンは増加します。そして、ドーパミンはやる気を引き出すホルモンです。新しい挑戦や目標達成の際に分泌され、行動意欲や充実感を生み出します。「J1で優勝するんだ!」「ACLを取るんだ!」という行動目標によってドーパミンがどんどん出てくるのです。

近年、推し活が注目されていますが、誰かと一緒に何かを応援したり、家族や友人とスポーツ観戦をしたりすることは健康につながり、生きがいにもなります。うつ病予防には最適でしょうね。長崎スタジアムシティに来るだけで健康になりますよ。

髙田 サポーターのなかには、ご夫婦で観戦に来ている方もたくさんいらっしゃいます。特に、中高年の方はご夫婦の会話がないとおっしゃる方も少なくないですが、スポーツ観戦が共通の趣味になれば自然に会話も生まれるでしょうし、試合を観て一緒に喜んだり悲しんだりしてストレス発散にもなるのではないでしょうか。アウェーの試合を観るためにいろいろな地域に足を運び、サッカー観戦を目的にしながらその土地の美味しいものを食べたり、景色を楽しんだり。ただ1泊旅行するのとはまた違うものになると思います。私達も、みなさんがもっと心も体も健康になるような取り組みを広げていきたいと思います。

情報格差を克服し大都市と張り合う “地方発”のマインドセット

竹下 長崎県佐世保市からスタートしたジャパネットさんは、地方発というハンデを乗り越え、全国的な知名度と信頼を築きました。日本国内における通販事業の成功例として広く知られていますが、地方発の企業が全国的に成功した秘訣は何だったのでしょうか。 

髙田 長崎から始まった会社なので、地元への恩返しとして長崎を盛り上げたい気持ちはあります。しかし、長崎をほかの県より優先するわけではなく、目指しているのは日本全国が元気になることで、それが長崎から成功できたらいいなと思っています。その意味では、ジャパネットが長崎発の会社であることはあまり気にしておらず、みなさんがイメージされているほど長崎を背負っているという意識もないのです。と言いますのも、私は、長崎のような地方都市でも、情報格差さえなくなれば、東京や大阪といった大都市と十分張り合えると考えています。ですので、地方の方に東京だけでなく、日本や世界と戦えることを証明すれば、日本の各地域が元気になると信じています。長崎スタジアムシティが全国的に注目を集め、V・ファーレン長崎がJ1昇格・J1優勝し、さらにアジア1位のクラブになれば、地方が抱える劣等感のようなものも取り除かれると思います。長崎にいると、周囲がやっていないことはやらなくていいといった風潮が多く、新しいことに挑戦するのをためらっているように感じます。そういう地方の雰囲気を変えていく必要性は、長崎に限らずあると思います。

竹下 最後に、今後の髙田社長の展望をお聞かせください。

髙田 まずは、長崎スタジアムシティの各事業(ホテル・イベント・飲食など)をビジネスとして持続可能な状態にまでにすることです。いまは、まだ通販事業にぶら下がってやっている事業なので、ここだけの収益で継続できる仕組みをつくっていかなければなりません。オープンして間もないので、みなさん、いいですねと言ってくださいますが、まだまだ改善していくべきことが多くあります。きちんと黒字化してビジネスとして成り立たせることができたとき初めて成功したと言えると思っています。そして、私達は感動とビジネスを両立させるというテーマを掲げていますので、それを成し遂げたときに日本中のヒントになるようなことができているのではないかと思います。

竹下 その可能性は十分あると思いますし、日本が誇る場所に必ずなると思います。

髙田 それにはやはり、サッカーもバスケも定番になっていかなければなりません。観客が埋め尽くした会場はやはり爽快で、あのワクワク感を日本中の人に感じていただきたいです。おかげさまで県内外含め多くのお客様に喜んでいただいているので、ジャパネット流にもっとサービスを磨いて、非日常を当たり前にし、感動とビジネスを両立させた施設にすることで、子どもが増え、人口が増え、ゆくゆくは日本中が元気になるといいなと思っています。

提供:長崎スタジアムシティ

ジャパネットホールディングス代表取締役社長 髙田 旭人 | たかた あきと

1979年長崎県生まれ。東京大学卒業後、証券会社を経て、ジャパネットたかたへ入社。バイヤー部門、コールセンター部門、物流部門の責任者を経て、2010年にジャパネットコミュニケーションズ代表取締役社長となる。ジャパネットたかた取締役副社長を経て、2015年1月、ジャパネットホールディングス代表取締役社長に就任。2019年には通信販売事業に加え、スポーツ・地域創生事業をもう一つの柱とし、「リージョナルクリエーション長崎」を同年6月に設立。サッカースタジアム・アリーナ・オフィス・商業施設・ホテルなどの複合施設「長崎スタジアムシティ」の開発を民間主導で取り組み、2024年10月14日に開業した。現在はホールディングスを含む8社の代表を務める。

ジャパネットホールディングス代表取締役社長 髙田 旭人 写真

デポルターレクラブ代表 竹下 雄真 | たけした ゆうま

会員制トレーニングジム「デポルターレクラブ」代表。1979年、神奈川県茅ヶ崎市生まれ。早稲田大学スポーツ科学研究科修了。都内パーソナルトレーニングジムにてトップアスリートをはじめ多くの著名人の肉体改造に携わる。著書に『外資系エリートはすでに始めているヨガの習慣』(ダイヤモンド社)、『ビジネスアスリートのための腸コンディショニング』(パブラボ)などがある。

https://www.deportareclub.com/

デポルターレクラブ代表 竹下 雄真 写真

取材・文・編集 服部広子
写真 大串祥

翼の王国のアンケートにぜひご協力ください。
抽選で当選した方にプレゼントを差し上げます。