ビジネスも思考も旅と健康習慣で変えていく ジャパネット髙田社長が語る経営者哲学
トップアスリート、アーティスト、経営者が通う会員制パーソナルトレーニングジム「デポルターレクラブ」代表の竹下雄真さんが、各界のトップランナーと対談し、旅を通したウェルネスや仕事術、地域創生などのお話を伺う連載。第3回目のゲストには、ジャパネットホールディングスの代表取締役社長兼CEOの髙田旭人さんをお迎え、「スポーツを核とした街づくり」をテーマに、ジャパネットが手がけた長崎スタジアムシティの特徴や民間主導による地域創生、そして、旅の思い出についてお話を聞きました(全5回の4回目)。

前回までの記事
継続を支えるパーソナルトレーニングの力
竹下 昔は野球をされていたと伺いましたが、現在は、健康のためにどのような運動や体づくりをしていますか?
髙田 スポーツジムには週に2〜3回ほど通っています。特に、パーソナルジムでのトレーニングがとても効果的で、専属のトレーナーが私の体調や目標に合わせてプログラムを組んでくれます。また、身体のメンテナンスの一環として鍼灸やヘッドスパも取り入れています。
竹下 素晴らしい習慣だと思います。経営のトップの方はさすが健康への感度が高いですね。弊社のパーソナルジムの会員様のなかには経営者もたくさんいらっしゃいます。多くの方が、運動習慣を通じて心身のバランスと健康を保つことを意識されていて、それによってお仕事でも成果を上げられています。
髙田 おっしゃるように、心と体が健康でなければ、適切な経営を行うことは難しいです。経営者は、意思決定を行うための体力と精神力、そして集中力が不可欠ですし、ストレスやプレッシャーにうまく対応しなければなりません。効率的に仕事を進めるために適度な運動と日々のメンテナンスは続けています。
竹下 運動を続けることは非常に難しいことです。仕事やプライベートの忙しさにかまけたり、三日坊主で終わってしまったり。継続するためには、髙田社長のようにパーソナルトレーニングを受けるというのもおすすめです。トレーナーと約束していたら簡単にサボれないですから。
髙田 竹下さんはどのように運動をされているのですか?
竹下 実は、昨年から私自身もパーソナルトレーニングを受け始めたのです。ここ数年、自分で適当にトレーニングするという状態が続いていましたが、それでは、「今日は寝不足だし、明日やればいいや」とやらない理由を探してしまって。弊社のトレーナー陣に心身を委ねるようになった結果、9カ月ほどで体重は6〜7キログラム、体脂肪率も4〜5パーセント落とすことができました。髙田社長は、食事で気をつけられていることはありますか?
髙田 食事に関しては反省すべきところが多いです。パーソナルジムで毎月、食事の記録を取っているのですが、明らかに数字に出ています。やはり、仕事上の会食が多いので、食事のコントロールが難しいです。
竹下 トレーナーとしては、まず、問題点を知ってもらうことが大事なのです。どういうものを摂り過ぎているのか、足りない栄養素は何か、食習慣の改善のポイントがわかっていれば、食事のときに多少なりとも意識しますよね。髙田社長は、ご自身で反省すべきだと思っている時点で食習慣は改善されているのではないでしょうか。
髙田 年齢を重ねると特に健康的な食生活は欠かせません。会食の回数は減らせなくても、それ以外のところでコントロールしなければいけないなと思っています。

仕事抜きの旅行はしない 「旅」をサービスに生かす
竹下 今回、旅についてのお話もぜひ伺いたいと思います。お仕事で国内外いろいろな場所に行かれると思いますが、プライベートではよく旅行はされるのですか?
髙田 仕事抜きの旅行はあまりしておりません。だからこそ旅行事業に求められることがわかると言いますか。性格がせっかちで面倒くさがりなところもあるので、旅行の際にこういうサービスがあったら嬉しいなと思うことをジャパネットの旅行事業に詰め込んでいるのです。
例えば、観光地を楽に回れるように循環バスをサービスとしてつけていたり、食事や飲み物、チップ代などは商品代金に含めて船内での支払いを気にせず楽しんでいただけるようにしています。また、寄港地でゆったりと観光していただくため、どの寄港地でも朝入港・夕方出港するスケジュールを組むなど工夫しています。
クルーズ旅行は移動が楽で、荷物は持ち運ぶ必要がありません。まるで動くホテルとも言える豪華客船で、好きなときに食べて、くつろげるのでおすすめですね。
今年初めて企画した、飛行機で海外に行きクルーズする「フライト&クルーズツアー」は、全寄港地で日本語ガイドか通訳がついた名所ツアーにしているので、安心して楽しんでいただけると思います。


壮観な自然やアーユルヴェーダ…無になれるスリランカへの旅
竹下 これまでの旅で、ご自身の考え方や人生が変わるような経験をされたことはありますか?
髙田 もちろんあります。最近は、仕事も絡めながら海外の経営者と交流する機会が多く、つい先日もスリランカに行きました。自然を感じられるとてもいいところで驚きました。音がない世界で何も考えずに過ごしたり、野生の象を見たりと、何よりも自然に触れられたのがよかったです。
竹下 私も昨年末に一人でスリランカを旅しました。3度目の訪問でしたが、何度行っても素晴らしいところだと感動します。豊かな自然と古代遺跡が多く、ほかの土地では見られない景色も見られますよね。
髙田 遺跡といえば、世界遺産の「シギリヤロック」に行きました。高さ200メートルほどの大きな岩の上に築かれた古代都市の遺跡で、ジャングルのなかに巨岩がそびえ立つ姿に圧倒されます。王宮や街が造られたことも信じられませんし、あのようなところに住もうと思う発想がすごいなと。


竹下 1200段の階段を登り切った頂上からの360度の大パノラマが絶景ですよね。断崖絶壁の岩の周囲には緑豊かなジャングルが広がっていて壮観です。スリランカでは、アーユルヴェーダは体験されましたか?
髙田 残念ながら体験できなかったのですが、やはりいいのでしょうか?
竹下 アーユルヴェーダは、5000年以上前にインドやスリランカで生まれた世界最古の伝統医療です。温めた薬草オイルを額に垂らし続ける「シロダーラ」や、手を触れずに体のエネルギーを整える「プラトニック・ヒーリング」という施術があります。シロダーラの後は思考や感情が整理され、驚くほど頭がクリアになる感覚がありました。ストレスや情報過多で疲れている人におすすめです。仕事では、どちらに行かれることが多いですか?

髙田 これまではヨーロッパによく行きました。サッカーを観戦することが目的で、ヨーロッパチャンピオンズリーグのファイナルを観戦するためにスコットランドに行ったこともあります。オリンピックやワールドカップはほぼ現地で観ています。いま振り返っても、そういう旅の経験から学ぶことも多かったと思います。街を散策しながら人々の生活や仕事ぶりを自分の目で見ることで、その国の文化や価値観に触れることができるのは、旅ならではの魅力ですね。
ジャパネットホールディングス代表取締役社長 髙田 旭人 | たかた あきと
1979年長崎県生まれ。東京大学卒業後、証券会社を経て、ジャパネットたかたへ入社。バイヤー部門、コールセンター部門、物流部門の責任者を経て、2010年にジャパネットコミュニケーションズ代表取締役社長となる。ジャパネットたかた取締役副社長を経て、2015年1月、ジャパネットホールディングス代表取締役社長に就任。2019年には通信販売事業に加え、スポーツ・地域創生事業をもう一つの柱とし、「リージョナルクリエーション長崎」を同年6月に設立。サッカースタジアム・アリーナ・オフィス・商業施設・ホテルなどの複合施設「長崎スタジアムシティ」の開発を民間主導で取り組み、2024年10月14日に開業した。現在はホールディングスを含む8社の代表を務める。

デポルターレクラブ代表 竹下 雄真 | たけした ゆうま
会員制トレーニングジム「デポルターレクラブ」代表。1979年、神奈川県茅ヶ崎市生まれ。早稲田大学スポーツ科学研究科修了。都内パーソナルトレーニングジムにてトップアスリートをはじめ多くの著名人の肉体改造に携わる。著書に『外資系エリートはすでに始めているヨガの習慣』(ダイヤモンド社)、『ビジネスアスリートのための腸コンディショニング』(パブラボ)などがある。

取材・文・編集 服部広子
写真 大串祥子