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アイデアと移動距離は比例する 医師が勧める旅の楽しみ方と時差ボケ予防

アイデアと移動距離は比例する 医師が勧める旅の楽しみ方と時差ボケ予防

LIFE STYLE 旅で解放する

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トップアスリート、アーティスト、経営者が通う会員制パーソナルトレーニングジム「デポルターレクラブ」代表の竹下雄真さんが、各界のトップランナーと対談し、旅を通したウェルネスや仕事術、地方創生などのお話を伺う新連載。第1回目のゲストに医療機関「医療法人社団なかよし会 麻布台クリニック」(東京・港区)理事長・髙田哲也先生を迎え、「ウェルネスと旅」をテーマに、医師が考えるウェルネスやご自身の健康習慣、そして旅を通したウェルネスの実現についてお聞きしました(全5回の5回目)。

アイデアと移動距離は比例する

竹下 先生は、ご家族と旅行するときもあまり事前に調べないようにしているんですか?

髙田 そうですね。ふらりとなんでもないところを歩くのとか、時間も何も決めずにブラブラするのが好きで。妻からは、「前もって決めておいたほうが効率よくいろんなところが見られる」とか、「何もしなくていいなんてもったない」と言われますが、正直、何もしないのが私は好きです。パリに行ったとしても、ホテルでゆっくりして、たまにホテルの周辺を散歩したり、ちょっとその辺のレストランに行ったり、それだけでも満足しちゃうんですよ(笑)。

竹下 それも旅を楽しむための醍醐味の一つだと思いますよ。僕自身、海外旅行の目的はほとんど仕事で、プライベートな時間で足を運ぶのも現地のスーパーマーケットなんですよ。ミルク一つでも、ノンファットはあるか? ナッツミルクやライスミルクもあるか? といったミルクの品揃えを見るだけで、その土地のフィットネス意識の高さがわかります。また、町の何キロ圏内にスポーツジムは何軒あるか? エクササイズのトレンドは何か? と、およそ観光とは別の目的で動くことが多いですが、それも旅をしないと得られない情報なんですよ。僕の親しい知人でもあるクリエイターの高城剛が言っていた「アイデアと移動距離は比例する」という言葉があるのですが、なるほどその通りだ、と。旅行を通じて新しい発想力やクリエイティビティが養われるのは間違いないです。

髙田 美味しいものを食べたり、文化や芸術に触れたり。日常では味わえない体験から新鮮な気づきもあり、視野も広がりますよね。

日光を浴びて時差ボケを解消

竹下 医師の方に一度聞きたかったのが、時差ボケの解消法です。時差ボケを防ぐ方法や、時差ボケになったときの対処法などありますか?

髙田 実は、私自身は時差ボケになったことが全くないんです。私の勝手な思い込みかもしれませんが、医者で時差ボケになる人はあまりいません。おそらく、医者って、当直とかで昼夜逆転の生活が当たり前なので慣れているんだと思いますよ。そもそも時差ボケというのは、体内時計と外界の明暗周期がずれてしまうために起こります。だから、海外に向かうときは、機内にいるときからすでに現地時刻に合わせた生活リズムに変えること。それは帰国のときも同様で、飛行機の中では日本時間に合わせて寝る、あるいはいっさい寝ないというのもおすすめです。それで、旅先でも帰宅後でも、寝るときは部屋のカーテンを開けたまま寝ると、朝、日光に当たることで体がリセットされます。ポイントは、日光に当たることです。リセットされたら、そこから1日の生活リズムを作っていけば時差ボケにはなりません。

夢は みんなが幸せになれる空間を作ること

竹下 最後に、髙田先生の今後の目標などを伺いたいと思いますが、現在48歳ということは、人生100年時代でいうところのちょうど折り返し地点ですね。

髙田 そうなんです、人生、焦っちゃいますよ。だって、人生100年時代とはいえ、健康で、元気で100歳だったらいいですけど、現実的にはなかなかそうもいかないでしょう。そうすると、仕事ができるのもあと何年なのか? とかいろいろ考えてしまいます。私は、いつも人生について思いを巡らせるとき、20年をひと括りして考える習慣があります。例えば、私の年齢は20年後には68歳で、ほぼ70歳。逆に22年前に遡ってみると、26歳は研修医が終わった年で、当時のことは記憶が鮮明に残っているんですよ。だったら、将来70歳になっても、今日のことを簡単に思い出せるはずで、20年なんてあっという間なんだろうな、と。やりたいことも、やらなければならないこともたくさんあるし、それを考えると焦っちゃいますね。

竹下 ウェルネスに重点を置いた新しいクリニックを開業したばかりですが、どんな夢をお持ちなんですか?

髙田 患者さんも医療者もともにウィンウィンな関係性っていいなあと思っているんです。クリニックでも会社でもいいのですが、みんなが幸せになるような組織を作って、みんながハッピーだなと思える空間をたくさん作っていきたいという夢はありますね。

デポルターレクラブ代表 竹下雄真 | たけした ゆうま

会員制トレーニングジム「デポルターレクラブ」代表。1979年、神奈川県茅ヶ崎市生まれ。早稲田大学スポーツ科学研究科修了。都内パーソナルトレーニングジムにてトップアスリートをはじめ多くの著名人の肉体改造に携わる。そのほか、慶應義塾大学SFC研究所上席所員、早稲田スポーツビジネス研究所招聘研究員、経済産業省地域×スポーツクラブ産業研究会委員などを務めている。著書に『外資系エリートはすでに始めているヨガの習慣』(ダイヤモンド社)、『ビジネスアスリートのための腸コンディショニング』(パブラボ)などがある。

https://www.deportareclub.com/

デポルターレクラブ代表 竹下雄真 写真

麻布台クリニック理事長 髙田哲也 | たかだ てつや

医師・医学博士。医療法人社団なかよし会理事⻑(日吉メディカルクリニック・麻布台クリニック)、医療法人社団侑芯会会⻑、医療法人社団こうかん会理事、慶應義塾大学医学部内科学教室特任助教。1975年生まれ、神奈川県横浜市出身。慶應義塾大学医学部卒業。「多くの医師との連携を躊躇せず、患者さんに安心の医療を提供する」をモットーに、外来診療や産業医活動を行いつつ、医療機関の経営にも携わる。「グッドドクター」「監察医朝顔2」など、メディアでの医療監修も多数。

https://www.azabudaiclinic.com

麻布台クリニック理事長 髙田哲也 写真

写真 細田純平
取材・文・編集 服部広子