66日間で習慣化 ウェルビーイングに生きる秘訣は継続の力
トップアスリート、アーティスト、経営者が通う会員制パーソナルトレーニングジム「デポルターレクラブ」代表の竹下雄真さんが、各界のトップランナーと対談し、旅を通したウェルネスや仕事術、地方創生などのお話を伺う新連載。第1回目のゲストに医療機関「医療法人社団なかよし会 麻布台クリニック」(東京・港区)理事長・髙田哲也先生を迎え、「ウェルネスと旅」をテーマにお話をお伺いしています。全5回の2回目は、医師が考えるウェルネスやご自身の健康習慣、そして旅を通したウェルネスの実現についてです。
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運動は継続が大事、毎日1分の運動を習慣化しよう
竹下 先生は、習慣的に運動をされていますか?
髙田 週1回は体を動かすようにしています。スポーツクラブで走ることもあれば、当法人のクリニックが慶應義塾の日吉キャンパス内にもあるので、敷地内をウォーキングしたりします。キャンパスがかなり広いので、ぐるぐる歩くだけでも十分な運動になるんです。普段、患者さんにも「運動してください」と助言しますが、運動を継続するというのは、なかなか難しいものですよね。私自身、あまり運動する習慣がないので。
竹下 毎日1分でいいので、スクワットなどの運動を取り入れるほうがおすすめです。いちばん大きな太ももの筋肉を鍛えることで体全体の代謝が上がる。特に朝の起き抜けに行うと、自律神経の働きが高まって目覚めもいいんですよ。新しい行動を習慣として身につけるために必要な時間は、生理学的にも、66日とされているんです。66日が過ぎれば習慣化し、階段で上ろうとか、1駅歩いちゃおう、と体を動かすことが苦にならなくなる。しかも、毎日同じことを続けるから体の変化や不調にも気づけます。一生太らない体を手に入れたいなら、やはり習慣化が必要ですね。
人との約束が習慣形成のきっかけに
髙田 デポルターレクラブさんの良いところは、会員の一人一人に専属トレーナーがつくパーソナルトレーニングジムだという点です。運動をするためにジムに行けば、専属トレーナーさんが週1〜2回、日々の変化を見てくれてアドバイスをくれる。これはとても意味があると思います。
竹下 トレーニング自体もそうですが、病院に行くことや検査を受けることは楽しいことではありません。健康管理のために必要だとはわかっていても、それを習慣化して続けていくのは本当に難しい。では、どうしたら皆さんが行くようになるのか? と言ったら、やはり人との約束だと思うんです。自分一人の決め事としてスケジュール帳に書いてもなかなか継続に繋がらないけれど、トレーナーやドクターと約束していたら重い腰を上げるはずです。人との約束が習慣形成のきっかけとなり、体質改善を継続して行うことができると思いますね。先生の毎日の必ず行うことや、長く続けている習慣はありますか?
髙田 たいしたことではないですが、毎晩お風呂に入っても、翌朝必ずシャワーを浴びるのが日課です。時間に余裕があるときは、湯船に浸かってゆっくり考えごとをするのが理想的ですね。朝は遅くても7時には起きて、シャワーを浴びながら「今日はこういうことを話そう」とか、「あれではなくこれにしよう」とぐるぐると考えを巡らせる。そうして仕事の全体像を把握したり、計画を立て優先順位を決めたりしていると、どんどん気持ちが盛り上がってくるんです。ただ、残念なのはシャワーを浴びながらでは書き留めることができないので、たまに忘れてしまって、「あの盛り上がりはなんだったんだ!」ってこともたまにある(笑)。防水機能付きのボイスレコーダーが欲しいくらいです。
竹下 いつからやられているんですか?
髙田 研修医のときからやっていました。最近ではお風呂に入っているときひとりごとを言っているようで、子供から「パパ、いつも何をぶつぶつ言ってるの?」って言われることもありますが、自分では全く意識がないんですよね(笑)。でも、頭はスッキリしてモチベーションが上がりますし、脳がリセットされるのでクリエイティブな発想が生まれる。朝のそういう時間は、本当に大切だと思います。間違いなく、仕事の効率化を図れますから。あと、生活習慣ではないですが、疲れは次の日に残さないようにすることは心がけています。外来診療をしていると、当然のことですが、病気の方とたくさん接します。多いときは1日に100人以上の方とお話をしますから、正直、疲労感も大きい。なので、疲れはその日のうちにできるだけ解消するようにしないと、翌日にパフォーマンスを発揮できなくなってしまいます。夜の飲み会が多いのも、友人や仕事仲間と会話することでストレスを溜め込まないで発散するようにしているためなんです。人と楽しく話しながらお酒を飲むのも好きで、人付き合いが趣味みたいなところもあります。
デポルターレクラブ代表 竹下雄真 | たけした ゆうま
会員制トレーニングジム「デポルターレクラブ」代表。1979年、神奈川県茅ヶ崎市生まれ。早稲田大学スポーツ科学研究科修了。都内パーソナルトレーニングジムにてトップアスリートをはじめ多くの著名人の肉体改造に携わる。そのほか、慶應義塾大学SFC研究所上席所員、早稲田スポーツビジネス研究所招聘研究員、経済産業省地域×スポーツクラブ産業研究会委員などを務めている。著書に『外資系エリートはすでに始めているヨガの習慣』(ダイヤモンド社)、『ビジネスアスリートのための腸コンディショニング』(パブラボ)などがある。
麻布台クリニック理事長 髙田哲也 | たかだ てつや
医師・医学博士。医療法人社団なかよし会理事⻑(日吉メディカルクリニック・麻布台クリニック)、医療法人社団侑芯会会⻑、医療法人社団こうかん会理事、慶應義塾大学医学部内科学教室特任助教。1975年生まれ、神奈川県横浜市出身。慶應義塾大学医学部卒業。「多くの医師との連携を躊躇せず、患者さんに安心の医療を提供する」をモットーに、外来診療や産業医活動を行いつつ、医療機関の経営にも携わる。「グッドドクター」「監察医朝顔2」など、メディアでの医療監修も多数。
写真 細田純平
取材・文・編集 服部広子
次回の「旅で解放する」は6月28日(金)配信予定。ウェルネスにつながる旅の話題をお届けします。