飛行機好きの聖地ANA Blue Baseに潜入!CAやパイロットの訓練現場へ大人の社会見学
子どもの頃から、社会科見学が好きだった。フツーの遠足よりも学びがあり、普段見ることのできない工場の内部に潜入、ラインが音を立てて稼働している様子をガラス越しにいつまでも見ていられた。自動車組立工場の溶接の火花などに興奮しがちだったが、菓子工場や飲料工場では見学後、できたばかりの製品の試食や試飲をさせてくれるのがなにより嬉しかった。
今でもほぼ同じ思いのまま歳(とし)を重ね、我ながら全くブレていないと自信満々でいるものの、それってほとんど成長していないに等しいってことじゃない?と、周囲からは呆(あき)れられている。

大人になっても社会科見学は大好物。 羽田空港近くの、総合トレーニングセンターANA BlueBaseの見学ツアーに行ってきた。ここはANAグループのグランドスタッフ、客室乗務員、貨物スタッフ、グランドハンドリングスタッフ、整備士、運航乗務員(パイロット)が実際に教育や訓練を受けている様子をガラス越しに間近で見ることができる。見学施設として、同内容の体験は国内は元より世界的に見ても他に例がなく、誠にレアで大変貴重な機会であることは間違いない。
ツアーナビゲーターは、現役のグランドスタッフや客室乗務員などが務め、ANAに関してなら人よりもちょっと知識が豊富と自負していた私でも、初めて知る内容の解説や現場の本音の声が直接聞けるというのが嬉しい。
実際の飛行機では訓練することが難しい、様々な非常時に対応した運航乗務員のシミュレーターが動いている様子や、空港カウンターがそのまま再現されたエリアでは接遇の実践訓練、心肺蘇生法やAEDを使った救急看護の訓練、滅多に見ることのない脱出訓練、極めつけは機体から水に浮かんだ非常用のボートへ乗り込む訓練など、「あんしん、あったか、あかるく元気!」な姿の裏で、乗客の安全を最優先に、日々緊急事態に備えた訓練を積んでいるということが理解できる。
普段の業務中には聞けないような、いつか聞いてみたかった私の特殊な質問にも、ひとつひとつ丁寧に答えてくださった。

巨大な訓練設備の数々に圧倒されつつ、見学が終盤に差し掛かり360度スクリーンの部屋に案内されると、ANAが大切にしている想いが見えてきた。コロナ禍を乗り切り、この先も持続的に成長、さらなる飛躍に向けた「人」への投資、チームワークを大切にしているということが伝わってくる。小学生の見学では、未来の自分の姿に重ねて空への憧れを増幅するよい機会となろう。大人の見学ツアー参加者にとっては、そのまま家路につかず、今スグ羽田空港から飛行機に乗りたくなる“青い沼”にどっぷりハマってしまうキケンな施設といえよう。
〜つづく
イラストレーション/ソリマチアキラ
※ツアーでご覧いただける訓練内容は、日によって異なります。
パラダイス 山元 | ぱらだいす やまもと
プロ搭乗客。 ANA ミリオンマイラー。音楽家。餃子レストラン「荻窪餃子 蔓餃苑」オーナーシェフ。著書に『読む餃子』、英語版・フランス語版餃子レシピ本『GYOZA』、『パラダイス山元の飛行機の乗り方』『なぜデキる男とモテる女は飛行機に乗るのか?』などがある。全国各地で開催中の「皮からつくる本気の餃子づくり教室」などの出演イベントの詳細は X(旧Twitter) で発信中。
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