POKECON BRAZILで感じた日本文化の広がり 妖怪たちと地球の裏側ブラジルへ!
「ニッポン47妖怪さんぽ」のコーナーで立体製作と執筆を担当している森井ユカです。47都道府県にゆかりのある妖怪から毎月1匹造形し、伝承の地に連れて行き、さんぽの道すがらご当地のグルメを堪能しています。そんな妖怪たちがはるばるブラジルのサンパウロに渡る機会がありました。2024年10月12~13日に行われた日本のポップカルチャー(主にポケモン)好きのための祭典『POKECON BRAZIL』です。
私はキャラクターデザイナーとして立体(素材は焼いて固める粘土)でビジュアルを製作しており、ポケモンカードゲームも20年ほど前からキャラクターの立体化を担当しています。ブラジルでもこのポケモンカード(ポルトガル語版)が大人気で、このイベントに登壇するため行ってまいりましたが、私オリジナルの製作物も紹介したく、連載に登場した妖怪たちを10体持参して、彼らの簡単なプロフィールと共にショーケースに展示することになりました。
サンパウロまでは途中4時間のトランジットを含めると片道約30時間の長旅でしたが、妖怪たちは損傷することもなく耐えてくれました。妖怪の側には『翼の王国』本誌も何部か広げておき、私か会場スタッフが日本の妖怪について解説をしました。ほとんどの妖怪が何百年かそれ以上前に民間伝承から生まれたこと、怖いだけの存在ではなくエンターテイメントとしての役割を担い、日本のその後の漫画、アニメ、ゲームなどに多大な影響を与え続けていることなどを伝えたところ、たくさんの方々が興味を持ってじっくり見てくださいました。昨年も同じような趣旨のアメリカのイベントで妖怪たちを展示しましたが、そのときも今回も共通しているのは、動物がモチーフとなった妖怪(牛のような姿のくだん、白狐、河童など)がより理解されやすく、関心を惹くようでした。
ご存知のようにサンパウロには日系ブラジル人の方が多く生活しています。このPOKECONの会場も東洋人街と呼ばれるリベルダーデにあり、周囲には日本のアニメやキャラクターのショップ、日本食のスーパーマーケット、それに(ブラジル風にアレンジされた)メイド喫茶までありました。また、書店で偶然見つけたのですが、日系人の絵本作家の方が、河童とブラジルの妖怪(森に住むキジムナーのような「クルピラ」)が出会うという、話もイラストも装丁も素敵な絵本があって嬉しくなりました。
さまざまなキャラクターやアニメから日本の文化を深く理解してくれている若い人たちとたくさん出会えたことで、私ももっとブラジルの文化を理解していかねばと心に誓いました……。妖怪を通して、地球の裏側のブラジルがとても身近に感じられるようになった貴重な体験でした。
写真・文 森井ユカ