済州島の海女(ヘニョ)と海鮮グルメ 女性の島チェジュを巡る旅
済州島 女と猫とアートに守られた楽園

韓国最大の火山島、チェジュ島。チェジュの人は、古くからここを「女性の島」と言う。海に潜る海女(あま)や畑を耕す女性たちが、家族を支え、島の暮らしを守ってきた。そして近年、島の守り神のシンボルとして親しまれているのが猫。確かに島を歩けば、あちこちで猫たちが人々とのびのびと共存する姿に出会う。雄大な海と山、どこまでも続く緑。その大自然の傍ら、街にはカラフルなアートがちりばめられた島。自然とともに生き、たくましく、しなやかに育まれてきたチェジュの風景。島に息づく“守り神たち”を訪ねて。さぁ、楽園へようこそ。
海に全てを捧ぐ。
強く温かく、そしてたくましい海女(ヘニョ)たち
体じゅうに重りを纏(まと)い、しっかりとした足どりで海に入っていくのは済州(チェジュ)海女協会会長を務めるブ・ホンスンさん。
「ここでは、村ごとに海女たちがチームで仕事をします。獲ったものはみんなでルールを守り、漁村の組合を通して出す。チェジュは『女の島』と言われますね。昔、漁から帰らぬことも多かった男性に対して、女たちが海に潜って、畑仕事をして、家族を支えてきた。今でも、海女は80歳、90歳で海に入りますよ。私も18の頃から海女としてここまで生きてきた。最初は何もできなかったけれど、長く続ければ少しずつできるようになる。海が、いろいろなことを教えてくれたんです」。
見渡すと、なんとゴミのないきれいな海だろうか。海女たちは海の掃除も欠かさない。海への愛と海女の勤勉さがチェジュの海を輝かせる。



チェジュならでは海鮮の楽しみ

チェジュ島には、島をぐるりと囲んで「ヘニョウィチプ」という海女の営む海鮮食堂が軒を連ねる。韓国語でヘニョは海女、チプは家や店という意味。海女が獲れたての海鮮を刺身や料理で出してくれる。


「調理や接客の係は決まっているの?」と聞くと「なにを言うの、みんな潜るし調理もする。どんなに高齢になってもみんな一緒に働くよ」と。新鮮な海鮮と絶景と、海女のパワーももらえる場所だ。

城山日出峰(ソンサンイルチュルボン)の下にある海岸のヘニョウィチプ
空港付近には飲食店街がたくさん。海鮮料理店が豊富な中でも初めて出会うのが、太刀魚の鍋。看板料理は、長い太刀魚が丸ごと入る特注の鉄板鍋。元祖の店を訪ねた。2016年、家族で経営を始め、コロナ禍を乗り越えた今もなお賑わう。他にもこのスタイルの店が増えるほど、家族でチェジュ名物となる豪快料理を生み出した。

チェジュマダン/제주마당

Nodo Mackerel/노도 고등어회
撮影 金子斗夢
コーディネート 城後美沙、前園亜耶
取材・文・編集 中野桜子
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