精進川が明かす札幌誕生の謎 「ブラサトル」和田哲さんと巡る地形と歴史の旅
豊平川の支流である「精進川」は、平岸面と札幌面という地形の境界線であり、札幌の街づくりの足跡を今に伝える貴重な場所です。記録が豊富に残る札幌だからこそ、土地の謎が事実として紐解かれる面白さがあります。街歩き研究家・和田哲さん(ブラサトル)の案内とともに、地形の秘密や「平岸」の名の由来、自然が息づく精進河畔の魅力を探ります。
支流「精進川」—— 川のほとりを歩けば札幌の街づくりの歴史が見えてくる

北海道科学大学 工学部 都市環境学科 客員教授 街歩き研究家 和田 哲さん
Instagram @burasatoru
「道外の古い町と違って、札幌には幕末以降160年分の記録が残っています。だからこそ、『なぜこうなったのだろう?』という土地の歴史の謎が、単なる言い伝えで終わらず、事実としてクリアになる面白さがあります」
「豊平川は札幌の母なる川です」と語る和田さんには、住宅街を静かに流れる豊平川の支流・精進川を案内してもらった。
「こちらの右岸の先は急な崖になっていますね。これが平岸面です。反対側が札幌面」
豊平川が作った札幌扇状地には氷河期時代に作られた平岸面とその後に形成された札幌面の2つの層があり、その境界にあたるのがこの川だという。ちなみに、「平岸」のルーツはアイヌ語の「ピラ(崖)・ケシ(端)」。
かつて、この川の下流部は豊平川から分流し、再び豊平川へと合流していた。その中洲にある部分が中の島という地名になった。その後、昭和の治水工事の中で分流部分は切り離され、今では支流として機能している。
「精進川のように、昔の札幌には小さい川がたくさんありました。それが本来の自然の姿なのですが、やっぱり札幌は豊平川の氾濫に悩まされてきました。川を制御して、堤防を作って、川筋を1本に整えなければならなかったんです」
原生林が茂る河畔の道は、人々の日常的な通勤・通学路でありながら、毎年サケが遡上(そじょう)するほど豊かな自然が息づいている。



撮影 吉川麻子(cocoon photographs)
取材・文・編集 川原田朝雄
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