すすきの・鴨々川 繁華街を流れる分流と成田山札幌別院
日本有数の繁華街・すすきのの側を穏やかに流れる「鴨々川」は、豊平川の分流として札幌の街の発展を見守ってきました。明治初期、全国から集まった開拓民や職人たちの心を支えるために建立された成田山札幌別院新栄寺をはじめ、川のほとりには人々の祈りと安らぎの歴史が息づいています。現代のすすきのへと繋がる鴨々川の歩みと、地域に愛され続ける寺町の魅力をひも解きます。
分流「鴨々川」—— 今も昔もすすきのに集まる人々には川とお寺が心の安らぎなんです
成田山札幌別院 新栄寺 主監 谷 照幸さん
成田山札幌別院新栄寺(しんえいじ)は、明治18年に成田山新勝寺から御分霊を勧請して創建され、不動明王を御本尊としてお祀りしている。主監の谷さんは、本山での修行を経て札幌別院に赴任。成田山伝統の真言密教の秘法である護摩祈祷を毎日修行する。「昔はお寺が住民の身元を把握する役割だったから」。左は、近くの料亭へ向かう芸者衆(さっぽろ名妓連)のまさ美姐さん。
大歓楽街・すすきのを縫うように流れる鴨々川(かもかもがわ)は、豊平川中流域から自然に流れを変えていった分流だが、この周りには古刹(こさつ)が集まる。木立に囲まれたお寺ではなく、街のネオンを浴びながら静かに威厳を放っている。
「かつて、すすきのは日本各地から集まってきた開拓民のための場所でした。土木労働者を慰安する歓楽街として整備され、賑わってゆく一方で、定住農民にとっては故郷と同じ生活環境が必要でした。お寺もないような土地では安心して暮らせない―その不安を和らげ、定住を促すために寺町が作られていったのです」
そして、川は当初から生活用水や物資の運搬に欠かせないものであり、穏やかで澄んだ水面は人々の心を静めてくれた。お寺と川は、すすきのに暮らす人々を今も見守っている。



撮影 吉川麻子(cocoon photographs)
取材・文・編集 川原田朝雄
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